「編集権というものを知らなかった」
矢野氏は謝罪を受けた場で、「自社の利益という観点からジャニーズのタレントと外部のライターを天秤にかけて、ジャニーズのほうを重要視したことがたいへん無礼であるとともに、著作権侵害にも抵触している」などの苦言を博報堂側に伝えたという。
編集長からは「自分はもともと編集の人間ではなく、編集長になるさいも編集権という概念を教わっていなかったため、編集権というものを知らなかった」といった発言もあり、矢野氏は困惑を隠せなかったという。
矢野氏は、ジャニーズ事務所への企業の対応は今後も問われていくと予想する。実際、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(当時は岡本カウアン名義)が4月12日、ジャニー氏から受けた性的被害を記者会見で訴えた際は、「スルー」するマスコミもあり、メディアの存在意義を問う声が少なくなかった。
矢野氏は今回の削除騒動を「もともとの問題はたいへん根深いものであり、これについては今後も考えるべきであるものの、私の発言についての掲載/削除の判断およびその手続きにかぎって言えば、全体的にしょうもない話でしかなかった、という感想です」と総括している。