プロボクシングのWBO世界ヘビー級暫定王座タイトルマッチが2023年4月16日、英カッパー・ボックス・アリーナで行われ、挑戦者・張志磊(中国、39)が暫定王者ジョー・ジョイス(英国、37)を6回TKOで破り王座を獲得した。世界主要4団体(WBA・WBC・WBO・IBF)でアジア系初のヘビー級暫定王者となった。
「張は大きな収益の可能性を秘めている」
サウスポーの張は序盤から重い左ストレートを武器に攻め込んだ。ここまで全勝のジョイスはコンビネーションで応戦するも張の左ストレートで右目周辺が腫れあがり、完全に右目がふさがった6回途中にドクターストップがかかった。殊勲の張は25勝20KO1敗1分。プロ初黒星を喫したジョイスは15勝(14KO)1敗。
5月2日に40歳の誕生日を迎える張の「番狂わせ」に米国の権威ある専門誌「ザ・リング」(WEB版)は「ロンドンの衝撃」と伝えた。中国のヘビー級ボクサーは、彼のキャリアの中で最大の勝利を収め、衝撃的な番狂わせはロンドンのカッパー・ボックス・アリーナの観衆の前で起きたとした。
米スポーツ専門局「ESPN」(WEB版)は張が正規王座獲得に近付いたとし、張の「商品価値」に言及。記事では、中国人の関心を集める張は大きな収益の可能性を秘めており、正規王者やプロモーター、テレビ放送局にとって世界戦は魅力的な戦いになるだろうと解説した。
英スポーツメディア「スカイスポーツ」(WEB版)は、ジョイスの目への深刻な腫れは張の信じられないほどのパンチ力を物語っていたと解説。そして張はロンドンの観客に彼の力を見せつけるのに多くの時間を必要としなかったとした。
「張は中国のボクシングファンの期待に応えた」
張はアマチュアボクシング出身で、地元開催の08年北京五輪スーパーヘビー級で銀メダルを獲得。4年後のロンドン五輪ではメダルを獲得することができず14年にプロデビューした。一方のジョイスは16年リオデジャネイロ五輪スーパーヘビー級の銀メダリストで22年9月にWBO世界ヘビー級暫定王座を獲得した。
中国メディア「捜狐」(WEB版)は、中国初の世界ヘビー級暫定王者誕生に興奮を隠さなかった。中国ではこれまでプロボクシングで3人の世界王者が誕生したが、最重量級のヘビー級王者はいなかったとし、張は中国のボクシングファンの期待に応えヘビー級正規王者への挑戦が有力になったと伝えた。
現在、世界ヘビー級は2人の正規王者が存在しており、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ、36)がWBA・WBO・IBFの3団体王座を保持。WBC王座はタイソン・フューリー(英国、34)が保持している。WBO暫定王者の張はウシクとの王座統一戦の可能性が出てきた。
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— DAZN Boxing (@DAZNBoxing) April 16, 2023