「自らの意思で息を吸うように売春する」 女性と貧困、20年追う作家が見た「Z世代のリアル」

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Z世代の女性はホストに「限界までお金を作って全部使う」

中村氏:ホス狂いにしても、推し活にしても、Z世代の女性たちは限界までお金を作って全部使うことをしている。ホストブームは2018年にピークに達して、高止まりしている状況ですが、それ以前にはあまりなかった現象です。

――なぜ後先考えずにお金を使うようになったのでしょうか。

中村氏:ホストにかかるお金がどんどん上昇しています。円安による洋酒の値上がりだけでなく、ホス狂いの女性たちの競争の激化でホストに注ぎ込む金額の上限が桁違いになっている。売春で稼げる金額はせいぜい月200万円程度なのですが、ホス狂いの女性たちは月500万円、600万円という異常な金額を注ぎこんでいる。

――ホストクラブには、そこまでの金額が求められるんですね。

中村氏:「限界までどうやってお金を作るか」を考えると、短い時間で現金が稼げる同人AVや高単価の高級ソープは選択肢の1つで、いまは多くの女性が40代、50代の中年男性から「どうやってお金を引っ張るか」を考えています。嘘をついて金銭を出してもらう恋愛詐欺ですね。訴えられたら犯罪ですが、みんなそうならないことを前提に出会い系アプリや風俗店で詐欺することを目的に中年男性に近づいています。

――40代、50代の男性がZ世代の女性に狙われていると。

中村氏:40代、50代の生涯未婚率が約3割と高まりすぎています。淋しい中年男性が歴史的に過去にないレベルで存在して、そういう純粋な未婚男性を相手に恋愛詐欺を仕掛ける。女性たちは合理的に稼ぎたいので、LINEだけの関係で会わないでお金を払わせる恋愛詐欺が流行っている。彼女たちは未婚中年男性に近づいて好意的なLINEを送って、多額のお金を援助してもらいます。会うはお金の回収するときだけ、その足でホストクラブに向かう。膨大な人数の未婚中年男性が被害にあっています。

――ホス狂いになる理由は一体何なのでしょうか。

中村氏: どうしてこんな風になったのかと1つ言われていることは、ホス狂いの子は、趣味がない子がなるんですね。例えば、何か趣味がある子は、そういうところに走らないけれども、何も趣味がない子がたまたま行ったホストクラブで、本当に楽しくて刺激を受けたと言って、恋愛も関わってきて、みたいにハマっちゃうんですけど。何もなければないほどハマるらしいと言われています。

だから、そういう同じぐらいの世代の子で、生きていて何もないという子が他の世代よりも多いのかもしれないですね。

中村淳彦氏 プロフィール

なかむら・あつひこ ノンフィクション作家。大学在学中から20年以上、AVや風俗、介護、貧困などの現場でフィールドワークを行い、取材・執筆を続けている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)、『崩壊する介護現場』(ベストセラーズ)、『ルポ 中年童貞』(幻冬舎)など多数。また、『名前のない女たち』シリーズ(宝島社)は、劇場映画化されている。2023年3月1日に『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』(祥伝社)を刊行。

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