東京大学が、性別を問わずトイレでの「生理用品」の無償配布をしている。「駒場Ⅰキャンパス」(東京都目黒区)での取り組みで、大半のトイレに設置がある。ツイッターでは 「素晴らしい支援」「男性トイレにも置いてあるのすごくいい取組」などと話題となっている。
取り組みを進めてきた教養学部と学生自治会に2023年4月、実施経緯を聞いた。
「生理用品の出費に悩む学生の負担を軽減」
ツイッターで4月6日、東大のトイレに生理用品が設置されていると紹介された。男子トイレにも設置されていると称賛する内容だ。
投稿は注目を集め、「これはすごいわ!!」「生理用品=生理の時だけに使用する、とは限らないから、密かに助かっている人が居るかもしれないね」「男性トイレにも置いてあるのすごくいい取組だなと」「素晴らしい支援」といった声が広がっている。
取り組みは22年10月から、教養学部および学生自治会が始めた。学生自治会・広報によると、ほぼ全てのトイレで実施されており、23年度に学部主体の事業に切り替わった。全ての生理用品が大学の予算で設置されている。同会が先んじて企画したといい、実施の狙いは次のとおり述べる。
「『生理の貧困』が社会的な問題となる中、生理用品の出費に悩む学生の負担を軽減するため、またキャンパス内で急に生理用品が必要になった際の利便性を高めるために、設置を開始しました」
男子トイレへの生理用品設置は、学部による当初のモニタリング調査では範囲外だった。そこをカバーしたのが学生自治会だった。
需要は「普段女子トイレを利用する方に限られない」
自治会広報は、「生理用品を利用するのは、普段女子トイレを利用する方に限られないためです」と理由を説明する。具体的には、「持病などのために日常的に生理用品を利用する男性や、性的区分に違和感を感じている方々、その他事情のある方」。
費用面の制約はあるものの使用時のハードル低下にこだわり、実施にあたって学内の性的マイノリティ支援団体など当事者にヒアリングを行った。男子トイレにサニタリーボックスがないという課題が出ると、多目的トイレも含めて設置するよう学部に要望・実現させた。
ウェブサイトに掲載された取り組みの紹介ページでは、生理用品が設置されているトイレのドアにピクトグラムが掲示されている様子なども確認できる。
取り組み開始後の3か月間で男子トイレは計130個、女子トイレおよび多目的トイレは学部が設置したものと合わせて計1113個の利用があったという。月平均では400個以上の計算になる。
ツイッターの反響には驚いたとし、「大学をはじめとした公共空間で生理用品の無償配布が進んでいること、そして利用するトイレに関わらずその恩恵を受けられることの重要性をより多くの方に知っていただければ幸いです」と述べる。
23年度からは、男子トイレへの設置も含めて、学部主体の事業となった。その背景について、教養学部の担当者は「学生から好評であるとの声が多数寄せられたこと」や「学生自治会の取り組みやアンケートの結果」をふまえたとしている。「予算の状況にもよりますが、可能な限り来年度以降も継続していきたいと考えております」と意気込む。
学生自治会・広報によると、生理用品の無償配布について、本郷キャンパスでは法学部が試行的に行っているという。