就活50社受けるも...アナウンサー試験「全落ち」 「スポーツ実況者」夢見た24歳がYouTubeに見出す活路

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   大学生に人気の就職先として知られる放送局。中でもアナウンサー職は、その華々しさの一方で、合格を勝ち取るのが難しい「狭き門」だ。北海道出身のハムショーさんは、スポーツアナウンサーを目指して就職活動を進めるも、放送局のアナウンサー試験に全て不合格。夢を諦めきれない中、活路を見出したのはYouTubeでの野球実況だった。

  • YouTubeで野球実況を行うハムショーさん(本人提供)
    YouTubeで野球実況を行うハムショーさん(本人提供)
  • ハムショーさんの実況画面。ラジオ風の実況をしながら、お手製のスコアボードや打順表を更新する
    ハムショーさんの実況画面。ラジオ風の実況をしながら、お手製のスコアボードや打順表を更新する
  • YouTubeで野球実況を行うハムショーさん(本人提供)
  • ハムショーさんの実況画面。ラジオ風の実況をしながら、お手製のスコアボードや打順表を更新する

「アナウンサー以外で働くイメージが湧かなかった」

「打ちました、センター返し、詰まっている、前にしかし落ちている!さあセカンドランナー、サードを回るか!?回ってホームに帰ってくる!ヘッドスライディングはセーフ!サヨナラ勝ち!清宮がやりましたサヨナラタイムリー!」

   2023年4月1日に行われたプロ野球・北海道日本ハムファイターズ対東北楽天ゴールデンイーグルスの試合。日本ハムの新本拠地・エスコンフィールドHOKKAIDOでの初勝利の瞬間を熱っぽく伝えたのは、YouTube配信者のハムショーさんだ。「YouTube発のスポーツアナウンサー」を掲げて活動するハムショーさんは、1年前から日本ハム戦の試合の様子などを実況する生配信を開始。試合の様子は一切見られないものの、実況の聞きとりやすさなどから「ラジオ感覚で聴ける」と好評だ。

   3月28日、J-CASTニュースはハムショーさんに話を聞いた。北海道出身で、現在24歳のハムショーさん。小さい頃から日本ハムを応援するなど、生粋の野球好き、そしてスポーツ好きだった。高校3年の時に「スポーツの魅力を伝える側になれたら」とスポーツアナウンサーを志し、首都圏の名門大学に進学。大学のマスコミ志望者向け講座に参加し、アナウンサースクールにも通った。

   迎えた4年次の就職活動。心はアナウンサー一本だったが、放送局のアナウンサー試験は全滅した。アナウンサー以外の職種で内定をもらった企業はあったものの、「アナウンサー以外で働くイメージが湧かなかった」と辞退。就職浪人し再び放送局を受けたものの、アナウンサーで内定をもらうことは叶わなかった。就活では約50社受験し、そのうち9割がアナウンサー試験だった。

「抜け殻状態」で始めたYouTube配信...元プロ選手ともコラボ

   放送局でアルバイトをしながら、アナウンサーとして生きる道を探る日々。事務所に所属し、フリーのアナウンサーとして活動することも考えていた。「就職活動を終えて、正直抜け殻状態みたいなところがありました」。失意の中、22年4月からはじめたのが、YouTubeでの配信活動だった。

   YouTubeやニコニコ動画といった動画配信サイトでは、特定球団を応援する実況者が試合を見て、試合展開に一喜一憂する様子を配信する手法が定番化している。ハムショーさんがはじめたのは、日本ハムの試合映像を見て、その様子をラジオアナウンサー風に実況するというもの。最初は「アナウンサー実況の練習台のつもり」と割り切っていたが、安定した実況などが評判を呼び、徐々にファンを増やしていった。映像を見ながらの実況について、これまで放送局側から問題視されたことはないという。

   ハムショーさんは、ラジオ風の実況だからこそ、スポーツアナウンサーとしての力量が試されると話す。

「僕自身、『日本一の実況スキル』を身につけないといけないと思っています。テレビの実況は、映像を見て視聴者が盛り上がっているところに『言葉を添える』というイメージですが、ラジオ実況は言葉で試合を作る、自分の口一つで球場を再現することが求められます。その技術が難しいし、だからこそやりがいがあると思っています。描写力や表現力、選手へのリスペクトなども含めて、『この実況が一番だ』というのを自分自身で作り上げてから、様々なメディアでも活動出来たらと思っています」

   プロ野球のオフシーズンには、自ら営業活動に奔走し、地元企業からスポンサー支援・協賛を獲得。金銭的な支援を得るだけでなく、アルバイトを減らし、アナウンサーとして技量を高めるための時間を作る目的もあった。

   23年3月16日に行われたWBC日本対イタリア戦では、野球解説者のG.G.佐藤さん(元埼玉西武ライオンズ)とコラボして試合を実況した。「マイクがオフのときに、G.G.さんから『めっちゃやりやすいわ』と声をかけていただきました。普段から野球解説をやられている方にそう言っていただけたことは、今後の活動においてもすごく自信になりました」

   現在配信しているのは野球実況だが、サッカー実況の練習もしているという。ハムショーさんは「スポーツ実況を通じてスポーツファンの輪を広げ、スポーツで生活を豊かにする一助となれたら」と展望を語った。

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