「抜け殻状態」で始めたYouTube配信...元プロ選手ともコラボ
放送局でアルバイトをしながら、アナウンサーとして生きる道を探る日々。事務所に所属し、フリーのアナウンサーとして活動することも考えていた。「就職活動を終えて、正直抜け殻状態みたいなところがありました」。失意の中、22年4月からはじめたのが、YouTubeでの配信活動だった。
YouTubeやニコニコ動画といった動画配信サイトでは、特定球団を応援する実況者が試合を見て、試合展開に一喜一憂する様子を配信する手法が定番化している。ハムショーさんがはじめたのは、日本ハムの試合映像を見て、その様子をラジオアナウンサー風に実況するというもの。最初は「アナウンサー実況の練習台のつもり」と割り切っていたが、安定した実況などが評判を呼び、徐々にファンを増やしていった。映像を見ながらの実況について、これまで放送局側から問題視されたことはないという。
ハムショーさんは、ラジオ風の実況だからこそ、スポーツアナウンサーとしての力量が試されると話す。
「僕自身、『日本一の実況スキル』を身につけないといけないと思っています。テレビの実況は、映像を見て視聴者が盛り上がっているところに『言葉を添える』というイメージですが、ラジオ実況は言葉で試合を作る、自分の口一つで球場を再現することが求められます。その技術が難しいし、だからこそやりがいがあると思っています。描写力や表現力、選手へのリスペクトなども含めて、『この実況が一番だ』というのを自分自身で作り上げてから、様々なメディアでも活動出来たらと思っています」
プロ野球のオフシーズンには、自ら営業活動に奔走し、地元企業からスポンサー支援・協賛を獲得。金銭的な支援を得るだけでなく、アルバイトを減らし、アナウンサーとして技量を高めるための時間を作る目的もあった。
23年3月16日に行われたWBC日本対イタリア戦では、野球解説者のG.G.佐藤さん(元埼玉西武ライオンズ)とコラボして試合を実況した。「マイクがオフのときに、G.G.さんから『めっちゃやりやすいわ』と声をかけていただきました。普段から野球解説をやられている方にそう言っていただけたことは、今後の活動においてもすごく自信になりました」
現在配信しているのは野球実況だが、サッカー実況の練習もしているという。ハムショーさんは「スポーツ実況を通じてスポーツファンの輪を広げ、スポーツで生活を豊かにする一助となれたら」と展望を語った。