フランスの人気腕時計ブランド「Beaubleu(ボーブルー)」の輸入販売を巡り、東京都内の時計店の店長から違法行為の価格カルテルを持ちかけられたと、別の時計店の関係者がツイッターで告発した。
この店長は、ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)で交渉してきたという。事実関係について、カルテルを持ちかけたとされる店の運営会社は、「社内協議中ですので、お答えすることはできません」と取材に説明した。
告発された店長は、不快な思いさせたとツイッターで謝罪
ボーブルーの腕時計は、時計情報サイトによると、2017年にパリで設立され、針の形が円形になっていることが特徴だ。日本にまだ上陸していないとされ、最近注目が集まっている。
カルテル持ちかけについては、雑誌にも連載している腕時計愛好家が2023年4月3日、ツイッターで告発した。この愛好家は、輸入時計店を運営する「クロノセオリー」(東京都中央区)の社外プロデューサーをしている。
その投稿によると、都内の時計店の店長から、クロノセオリーがボーブルーの腕時計を取り扱うとの愛好家のツイートを見たとして、「当社と擦り合わせた日本上代を決めた方が良いかと思いご連絡させていただきました」とDMが来た。上代とは、客への販売価格を指す。店の運営会社は、ボーブルーの取り扱いを4月末から始めるとしていた。
愛好家は、このDMの画像を公開したうえで、違法行為のカルテルに誘われて困惑しているとツイッターで訴えた。
これに対し、店長は、不快な思いをさせたとツイッターで謝罪し、クロノセオリーに出向いて、ボーブルーの腕時計を取り扱う時期を相談したいと説明した。しかし、相談するのは理解しかねると指摘され、店長は、今後はこのようなことが起こらないようにしたいと再び謝罪した。
告発したことについて、愛好家は、クロノセオリーと話し合い、刑事リスクを最小化するために価格カルテルに応じないと正式に声明を出したと説明している。
カルテル持ちかけ先とされた会社「疑いをかけられるのは迷惑」
公正取引委員会の官房総務課は4月14日、J-CASTニュースの取材に対し、一般論として、「輸入代理店同士が販売価格を話し合うと価格カルテルになりえます」と答えた。独占禁止法では、不当な取引制限を禁じた第3条や違反行為の類型の1つとしてカルテルを挙げた第2条6号がそれにあたるとした。
今回のことが違法行為に当たるかについては、「調査をしてみないと分かりませんので、お答えできません」としている。
カルテルを持ちかけられたとされたクロノセオリーの担当者は14日、「社外プロデューサーが公表している経緯がすべてです」と取材に答えたうえで、次のように話した。
「スイスなどから時計を輸入すれば高くなってしまいますので、ユーザーが買いやすいように社外プロデューサーが時計のコンセプトをスタートさせています。価格を揃えましょうというのは受けることができず、当然ながら、許されることでもありません」
ボーブルーとは、スイスのジュネーブで3月27日~4月2日に開かれた世界最大の時計の祭典「ウォッチズ&ワンダーズ」で交渉し、時期は未定だがクロノセオリーが取り扱うことが決まった。カルテルを持ちかけたとされた店の運営会社は、たまたま同じブランドと交渉していたといい、同社の交渉担当者とは面識がないという。「先方と直接交渉したこともなく、疑いをかけられるのは迷惑に思っています」と明かした。
この店は4月14日、「店長はお休みしており、今後の出勤も未定です。取材は会社を通して下さい」とスタッフが応じた。店を運営する「ビヨンクール」(大阪市)は同日、店長がDMを送ったかなどの事実関係について、「社内協議中ですので、お答えすることはできません」と取材に話した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)