朝ドラ主人公「実在の人物がモデル」だと謎展開なくなる? 識者が指摘する「らんまん」期待の背景

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   2023年度前期のNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送が4月3日に始まった。

   物語の主人公は植物学者の牧野富太郎(1862-1957)をモデルとした槙野万太郎で、俳優の神木隆之介さん(29)が演じる。作品については公式サイトで「牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー」と説明されている。

   こうした設定に対し「らんまんは実在の方がモデルの話だから前作、前々作みたいな謎展開ないよね!?」といった声がツイッターに上がっている。実在の人物をモデルとした主人公の朝ドラについて、J-CASTニュース編集部は識者に意見を求めた。

  • 神木隆之介さん(2017年撮影)
    神木隆之介さん(2017年撮影)
  • 神木隆之介さん(2017年撮影)

「やっぱり、実在の人物のお話だとなんか安心する」

   21年度前期の「おかえりモネ」、後期の「カムカムエヴリバディ」、22年度前期の「ちむどんどん」、22年度後期の「舞いあがれ!」では主人公のモデルは示されておらず、実在の人物をモデルとして作られた朝ドラは20年度後期の「おちょやん」以来、今作で5作ぶりとなる。

   このため、ツイッターには、「やはり朝ドラは実在のモデルのストーリーの方が朝ドラっぽくて好き! おかえりモネ以降、しばらく4作が作り話が続いてたから、おちょやん以来の実在の人物の物語は嬉しい」といった声が上がっている。あわせて、

「やっぱり、実在の人物のお話だとなんか安心する」
「今回は実在の人物の物語なのでそんなに大コケは無いと思う。思いたい」
「2作品連続で離脱した朝ドラとは違い、今作は実在の人物をモデルにした内容。これなら完走できると信じたい」
「舞い上がれは後半の失速ぶりにがっかりだったけど、らんまんは実在の人物がモデルだし大きなハズレはなさそう」

   といった声も。実在の人物をモデルにすればストーリーが無難にまとまり、突飛な話にならないのではないか、と期待しているようだ。実際のところ、「謎展開」のない朝ドラに仕上がるのだろうか。

あらかじめ見える「着地点」

   この疑問に対し、「ネットと朝ドラ」の著書で知られるライターの木俣冬氏は、「ちむどんどん」や「舞いあがれ!」の後に「らんまん」の放送が始まったことが、視聴者から、モデルが存在しており、無難で王道な朝ドラを期待する声が上がりやすい状況を作り出した可能性はあると指摘する。

「『ちむどんどん』はヒロインとその兄妹がマイペースすぎました。また、『舞いあがれ!』はパイロットになるかと思ったら、なかなかなりませんでした。これらの展開に拍子抜けした視聴者は、あらかじめ着地点が見えた上で、しんどくない程度に紆余曲折があって、真摯な努力が報われるものを見て心穏やかに過ごしたいという思いはあるかもしれません」

   とはいえ、作風が無難なものや王道なものになったところで、視聴者は満足するのか。

「なったらなったで、もっと意外性や刺激が欲しいと思うものでしょう。人間はないものねだりなものですから」

「コンプライアンス的に問題になるようなことは変更されると思われます」

   「らんまん」の公式サイトには、牧野富太郎をモデルにした主人公・槙野万太郎について、「ある植物学者の波乱万丈の物語として大胆に再構成します。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません」という記述がある。実在の人物をモデルにした物語ながら「大胆に再構成します」とはどういう意味なのだろうか。

   木俣氏は「『ドラマ化する以上、脚色するのは当たりです』という宣伝文句に過ぎない気もしますが」としつつも、

「モデルの生きた時代は見過ごされたことも、現代のテレビドラマではコンプライアンス的に問題になるようなことは変更されると思われます。例えば、『あさが来た』ではヒロインのモデルたる広岡浅子の夫・信五郎は妾を持っていましたが、ドラマでは妻一筋に変更されました。また、結婚事情に限らず、朝ドラになるとたいてい実物よりソフトな描写になる傾向はあります」

   と、その真意を推し量った。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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