東京芸術大に進学する人気アイドルグループのメンバーに対し、大学構内にあるギャラリー「藝大アートプラザ」のスタッフが不適切投稿をした問題で、同施設の所長にクリエイティブディレクター・箭内道彦氏が新たに就任した。
箭内氏は「不適切行為が根絶される東京藝大を早急に実現する契機とする役目も負いました」とコメントしている。
「社会に、恐怖と不安を感じさせる重大な行為でした」
問題の経緯はこうだ。東京芸大と小学館が共同運営する藝大アートプラザのスタッフが2023年3月26日、乃木坂46の池田瑛紗(てれさ)さんが今春に東京芸大への入学を伝えるネット記事を引用し、「職権をついに濫用する時が来ました」とツイートした。その後、「誤解を招きそうな表現がありましたので削除しました」と釈明している。
自らの立場を悪用したハラスメントを予告するような内容で、SNSでは抗議が相次いだ。大学は契約解除を発表し、施設側も「非常に不適切な投稿」だったと謝罪した。
不祥事に揺れる中、箭内氏の所長就任が5日に発表された。箭内氏はタワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」、リクルート「ゼクシィ」など数々のキャンペーンを手がけ、広告業界の大家として知られる。ロックバンド「猪苗代湖ズ」の活動でも知られ、多方面で活躍している。2016年から東京芸大デザイン科の准教授を務め、22年4月には教授兼学長特命(大学改革・ブランディング戦略担当)を担っている。
箭内氏は所長就任のあいさつで、元スタッフを「藝大生に、新入生に、社会に、恐怖と不安を感じさせる重大な行為でした。誤解でなく実害です」と糾弾した。
小学館担当者の不祥事も
併せて「小学館の運営責任者による不適切な行動もありました」と報告した。施設の3月28日の謝罪文でも、「運営責任者が、一部の方に直接ご連絡するなど軽率な行為をとった」と記していた。詳細は明かしておらず、大学広報係はJ-CASTニュースの取材に回答しなかった。
SNSでは、騒動に言及した学生が、運営責任者から「勉強の為直接会って話したい」との旨のDM(ダイレクトメッセージ)を受け取ったと訴える投稿が拡散していた。
箭内氏は「新所長として、当件に不安と怒りを感じたすべての方々に、改めて深くお詫びを申し上げます」と改めて謝罪し、「再発の防止は大きな責務です。憎むべきすべての不適切行為が根絶される東京藝大を早急に実現する契機とする役目も負いました」と自らの役割を説明している。
藝大アートプラザは「時代とともに常に価値観を最適にアップデートさせ続けなくてはなりません」としており、「すべての新入生の学校生活、創作活動が、健やかで安全な日々であるために藝大アートプラザも、さらなる改革を進めて行きます」と誓っている。