坂本龍一さんの死去を惜しむ声は、世界各国でも広がった、特に中国では、中国外務省が2023年4月3日に開いた定例会見で中国紙の記者が訃報について質問し、報道官がお悔やみの言葉を口にした。
中国を舞台にした映画「ラストエンペラー」を筆頭に、坂本さんの経歴を詳報する中国メディアも相次いだ。
記者「あらゆる世代の多くの中国人ファンから支持され、好かれていた」
中国外務省ウェブサイトの会見録によると、北京青年報の記者が坂本さんについて
「中国の歴史と文化に深い愛と尊敬の念を抱いていた。また、中国の新型コロナとの戦いを支持し、健康状態がすぐれない中でも日中文化交流イベントに参加したこともある。そのため、坂本さんはあらゆる世代の多くの中国人ファンから支持され、好かれていた」
として、見解を求めた。
毛寧副報道局長は次のように述べ、日中関係への貢献をたたえた。
「坂本龍一さんの逝去に深い悲しみを覚えるとともに、ご家族に哀悼の意を表したい。坂本さんは世界的な作曲家だ。深い教養と深い慈愛に満ちた彼の音楽は、多くの人の心を動かしてきた。坂本さんは、中日間の人的交流、文化交流の熱心な提唱者であった。代表作には、多くの中国的な要素が盛り込まれている。彼は具体的な行動で、両国の友好と交流に貢献した。人と人との友情は、二国間の関係をより高い段階に押し上げる。両国のより多くの人々が、これまでの成果を基に、中日友好の促進に貢献することを望んでいる」
ドキュメンタリー上映には「さまざまなジャンルのファンが足を運んだ」
坂本さんと中国との関係は、愛新覚羅溥儀の生涯を描いた映画「ラストエンペラー」が有名だ。坂本さんは音楽を担当。テーマ曲は中国の伝統楽器、二胡(にこ)など中国音楽の要素を取り込んだことが評価され、1988年のアカデミー賞で作曲賞を受賞した。俳優として出演もしており、ロケのために中国を訪れてもいる。多くの中国メディアが、この点に触れている。
ニュースサイト「36Kr」は、坂本さんの詳細な経歴を掲載。「ラストエンペラー」では、中国音楽を短期間に猛勉強して作曲に臨んだことを伝えている。同サイトでは、17年に公開された坂本さんのドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto: CODA」が19年に中国でも上演されたことを伝えている。「音楽ファン、映画ファンなど、さまざまなジャンルのファンが(映画館に)足を運んだ」という。
坂本さんは21年に直腸がんを公表。台湾の中国時報は、台湾の芸能人でも直腸がんで死去した人がいるとして、早めに内視鏡検査を受けるように勧める記事を掲載した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)