高級ファッションブランド「ヴェルサーチェ」は2023年4月3日、米俳優アン・ハサウェイさんと中国の歌手・李宇春（クリス・リー）さんを広告塔に起用するとインスタグラムで発表した。
中国のSNS「ウェイボー」では、「一つの中国の原則を支持」するとも表明している。
-
インスタグラムより -
ウェイボーより
過去にはTシャツ騒動も
ヴェルサーチェは3日、フォロワーが100万人を超えるウェイボーで2人のアンバサダー就任を発表した。
インスタグラムでのグローバル向けの発表とは異なり、李さんの起用理由について「開かれたビジョンと世界との対等な対話を常に提唱し、国際舞台で現代の中国の若者像を示してきました。それはヴェルサーチェの勇気ある自己表現というブランド精神と、傑出、勇敢、自信というブランドコンセプトに見事に合致している」と書面で説明している。
「ヴェルサーチェは中国文化を愛し、一つの中国の原則を支持し、中国の主権と領土保全を尊重し、中国の人々の国民的感情を大切にしています」と台湾も自国の一部とする中国の主張を承認し、「長期的かつ継続的な文化的探求と芸術支援を通じて、ローカリゼーション戦略を包括的に深め、ブランドと中国の消費者の感情的なつながりを誠実に構築することを望んでいます」と親中ぶりをアピールしている。
声明は日本でも注目を集め、ツイッターでは驚きや戸惑い、不信感が広がっている。
ヴェルサーチェをめぐっては、香港とマカオを独立した国のように描いたTシャツを作成し、2019年にブランドアンバサダーの中国人歌手・楊冪（ヤン・ミー）さんが契約解除を申し出る騒動があった。
チーフクリエイティブオフィサーのドナテラ・ヴェルサーチェ氏が「中国の国家主権を軽視したいと思ったことは一度もありません」と謝罪し、ブランドのウェイボーアカウントも「私たちは中国を愛し、中国の領土と国家主権を固く尊重する」と火消しを迫られる事態となった。