教員のレポート確認がより大変に
著作権の問題にも言及している。
AIの学習素材として画像を使われた作成者が、「知らないうちに著作権を侵害されたとして問題提起を行っています」として生成系AIの将来的な訴訟リスクを危惧した。
学位論文やレポートは、東大では生成系AIのみを用いての作成は禁止しているものの、完璧に見破るのは困難だという。「論文やレポートなどの書面審査だけでなく、対面でのヒヤリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要が出てきます」と教員に対応を求めた。
課題や懸念は多いものの、東大は「生成系AIを有害な存在であるとして利用禁止する(イタリア、米国の事例など)だけでは問題は解決しません。秘密裏に開発が進行する可能性や、地下で悪用されることも懸念されます」との立場だ。
「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれないのです」ともはや後戻りできる状況ではなく、
「本学構成員の皆様は、この変化を傍観するだけでなく、大規模言語モデルに『創発』(能力が突然飛躍的に向上すること)が起きた原因を考察したり、生成系AIがもたらす様々な社会の変化を先取りし、積極的に良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見出していくべきではないでしょうか」
と訴えた。学内では、具体的な活用方法などについて議論の機会を設ける方針だという。