キン肉マンは「名前を出せない」マンガ? 「悪質ネタバレに法的手段も」声明2年半...ツイート数に変化は

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   人気マンガ「キン肉マン」の新作アニメの制作が発表された。新ビジュアルも公開され盛り上がる一方で、ツイッターではマンガについて言及する声が減ったと心配する声も広がっている。

  • 人気マンガ「キン肉マン」のキャラクター(写真:松尾/アフロスポーツ)
    人気マンガ「キン肉マン」のキャラクター(写真:松尾/アフロスポーツ)
  • 人気マンガ「キン肉マン」のキャラクター(写真:松尾/アフロスポーツ)

期待の一方...「読んでても話題にしちゃダメって雰囲気はある」

   「キン肉マン」は、嶋田隆司さんと中井義則さんの2人組マンガユニット「ゆでたまご」が手掛ける人気作品。マンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1979年から87年まで連載した。2011年からはウェブコミック「週プレNEWS」で続編の連載を開始。さらに、20年8月17日からは雑誌「週刊プレイボーイ」でも同時連載することとなった。

   1983年からはテレビアニメも放送され、大ブームになった。それから約40年経過した2023年3月17日、新シリーズの制作が発表された。

   作者の1人である嶋田さんは28日、自身のツイッター上で次のように呼びかけた。

「まだ『キン肉マン』が続いてるのを知らない人たち~!!スグルシリーズ第2期はすでに11年半も経つんだよ しかもアニメ化も決定したんだよ~」

   このツイートに対し、「アニメ化楽しみです」「ほんとうれしい」「あの時熱くなり、今もアツくなっているのを知らずにいる人に今こそ、届けたいです!」などと期待の声があがる一方、一部ツイッターユーザーからは冷ややかな声が寄せられている。作品についてインターネット上で言及しにくいという。

「名前を出してはいけないあの漫画として語られるようになって、そのうちそれも見なくなった」
「キン肉マンは少なくともツィッター上で『名前を書いてはいけないあの作品』になっちゃったからな」
「今では誰も呟かない、呟けない。自分も読んでても話題にしちゃダメって雰囲気はある」

   きっかけは20年9月1日、嶋田さんがマンガのスクリーンショット投稿を控えるように呼び掛けたことだ。読者からは理解を示す声も多く寄せられていたが、その後「週プレNEWS」公式サイト上で発表された声明はSNS上で大きな波紋を呼んだ。

   週プレNEWS 編集部の発表があったのは20年9月10日。作者らの訴えを受けて作者と編集部が出した声明で、読者の注目を集めたのは次の1文だった。

「悪質な著作権侵害、ネタバレ行為(文章によるものを含みます)に対しては、発信者情報開示請求をはじめ、刑事告訴、損害賠償請求などの法的手段を講じることもありますので、ご注意ください」

「法的措置を執られるリスクを負ってまで感想をつぶやこうとは...」

   J-CASTニュースは20年9月当時、アニメやマンガに詳しい小林航太弁護士に、「週プレNEWS」編集部の対応について見解を尋ねた。小林弁護士は、次のような懸念があると述べていた。(詳細:20年9月14日配信「ネタバレ・スクショの功罪 識者に聞く『キン肉マン』声明の見解」

「感想ツイート程度であれば法的問題は生じないと思われるとはいえ、ファンとしては感想を言うことも委縮して難しくなってしまいますし、盛り上がっているところに冷や水を浴びせられたような気分になってしまうのではないかと思います」

   ツイッターでも「法的措置を執られるリスクを負ってまで感想をつぶやこうとは思いません」などと嘆く声が広がっていた。

   実際に「キン肉マン」について言及するツイート数に変化はあったのか。J-CASTニュースは、SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」を用いて、「キン肉マン」を含むツイート数の変化を探った。なお、タイトルが含まれていても作品の感想とは限らなかったり、タイトルに言及せず話数や作中の関連単語などを用いて感想を述べる人もいたりするため、必ずしもツイート件数がツイッター上における作品の感想の投稿数を示すものではない。

声明の発表でツイート数に変化はあったのか

   口コミ分析ツールでは、集計できる期間が最大3か月分であるため、まず週プレNEWS 編集部の声明が発表される前3か月と、発表翌月からの3か月のツイート数を比較した。ただし、投稿が古いものや極端に多い日はサンプリングした件数となっている。

   20年6月から8月までの「キン肉マン」という単語を含むツイート数は合計21万6119件。連載日の8月31日に期間内で最多の言及があり、1万7169件だった。この日のストーリーは特に大きな反響があった一方で、スクリーンショット投稿が相次いだとし、嶋田さんが前出の注意喚起を行うきっかけとなった。

   この期間は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休載(4月20日から6月29日まで)を挟んだものの、「週刊プレイボーイ」で同時連載が始まった。

   参考までにこの前年となる19年6月から8月までの対象ツイート数は合計15万8336件。最も多い日は、連載日の6月17日で1万2756件だった。

   声明が発表された後の20年10月から12月までの3か月間では、14万8982件だった。最も多く言及されたのは、祝日に伴って変則的だった連載日10月7日(土)で5622件だった。

   なお声明が発表された20年9月は、ニュースなどで大きく取り上げられたこともあり、ひと月で15万1509件のツイートがあった。

   その1、2年後の同期間でツイート件数を見てみると、21年10月から12月までは19万1827件、22年10月から12月までは18万1362件あり、前出20年10月から12月までの件数を上回った。

   さらに直近3か月に当たる23年1月から3月までのツイート数は、21万3355件に上った。最も多い日は、アニメ化が告知された3月17日で3万8691件だった。

   作品名「キン肉マン」を含むツイート数で言えば、声明が発表された20年9月を挟んだ前後各3か月のみを比べると減りはしたものの、その後もう少し長いスパンで見ると、長期連載作品として安定的な数字が出ているという見方もできるかもしれない。アニメ化が発表された23年3月も盛り上がりを見せており、少なくとも「名前を出してはいけない」とまでは言い難いといえそうだ。

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