風力発電のバードストライク「迷信に近い」...モーニングショー出演者解説は「事実誤認」 日本野鳥の会がテレ朝に抗議

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   情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)のバードストライクをめぐる解説について、公益財団法人・日本野鳥の会が2023年3月31日、テレビ朝日に抗議していたことをツイッターで明らかにした。

  • 「モーニングショー」番組公式 より
    「モーニングショー」番組公式 より
  • オジロワシ
    オジロワシ
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「ネガティブな情報を出したがる人がいる」

   問題視されたのは、21日に放送された洋上風力発電に関する特集だ。日本で風力発電が進まない理由を玉川徹さんが取材し、風力発電のメリットとデメリットなどを紹介した。

   コメンテーターとして出演した国際情報誌フォーサイト元編集長・堤伸輔氏は、普及が広まらない再生エネルギーについて「風力発電をはじめとする再生エネルギーに対する考え方、いわば風向きを変える時が来ている」などと肯定的に述べる。

   一方で、再生エネルギーについては「ネガティブな情報を出したがる人がいる」と苦言を呈する。風力発電については、風車に鳥類が衝突して死傷する「バードストライク」などのネガティブな情報が拡散されているために進まないと嘆く。

「例えば風力でいうと、バードストライクがあると。鳥が可哀想じゃないかと。でも別に、(風車が)回ってなくても、普通の建物でも例えば石炭火力発電所でもその建物にぶつかってバードストライクなんて起こってるわけですよね。だからそういうこう一種の迷信に近いようなものも含めて、これまでネガティブ情報が流されてきていて。本当に日本が風力発電のトップを走っても良かったんですけどね」

   日本野鳥の会は31日、このコメントについて「事実誤認としか言えないような解説」だとツイッターで苦言を呈した。テレビ朝日に対しては、29日付で抗議文を送ったという。

「風車への衝突は猛禽類を中心とした希少種でも多く発生している」

   日本野鳥の会は抗議文の内容も明かした。

   風車へのバードストライクは世界中で発生しており、堤氏がバードストライクについて「迷信に近いもの」と断じたことに疑問を呈する。風車よりも建物に衝突する鳥が多いことについては事実としながらも、問題点は別にあると説明する。

「私たちがここで問題視しているのは、風車への衝突は猛禽類を中心とした希少種でも多く発生していることです。 そもそも風力発電の導入が進まないのは、鳥が衝突するというネガティブ情報が流されているからではなく、政策的課題によるものです」

   そのうえで、「鳥類は生態系の中では高次捕食者であり、その鳥類に重大な影響があるということは、生物多様性全体にも大きな影響が出る可能性があるため、適切な立地選択等を行った上で生物多様性に影響を与えない導入促進が必要と考えます」と主張した。

「絶滅危惧II類」の海ワシ類が

   環境省自然環境局野生生物課が22年8月に発表した「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改定版)」では、国内での海ワシ類のバードストライク発生概況を伝えている。2004年から2022年3月までの期間、風力発電施設周辺で発見された海ワシ類の死骸等の死因はすべてバードストライクと推測しているという。ほとんどが北海道で発生していた。

   バードストライクとして確認された個体数は 73 個体。うちのオオワシは3個体、残りの 70 個体は全てオジロワシだったという。どちらも絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)に定められていた。また、「報告されている件数は実際のバードストライクの一部のみと考えられるため、正確なバードストライクの発生状況の把握が望まれる」と記されている。

   堤氏の発言をめぐっては、猛禽類医学研究所の齊藤慶輔氏も21日、ツイッターで次のように苦言を呈していた。

「このコメンテーターがどれだけ世界中で問題になっているバードストライクについての知識があるのかわかりませんが、北海道で(判明しているだけで)約80羽の希少な海ワシが衝突している現実と日々向き合っている者として、とても情けなく腹立たしく思いました」

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