電力の地産地消で経済発展を 再エネ促進ぶれずに12年、岩手県宮古市が見据える「次のステップ」

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もっと地産分を増やしたい

   復興計画は、2020年3月に終了した。市ではスマコミ事業を引き継ぐ形で、同年9月「宮古市再生可能エネルギービジョン」を策定。その具体的な取り組み内容として、22年3月に「再生可能エネルギー推進計画(以下「推進計画」)を公表した。再エネの「地産地消」を通じた地域内経済の循環を作り出す目標を立てた。

   「地産」が少ないと、外からエネルギーを「買う」状況が続き、その費用が市外へ流れる。市は21年、宮古発電合同会社と宮古新電力に出資し、再エネ事業に主体的にかかわる姿勢を明確にした。市エネルギー推進課・小向博子係長によると、宮古新電力で扱っている電気のうち、地産の割合は23.5%。残りは電力卸市場などから購入、販売している。もっと地産分を増やしたい。

   そのカギとして「推進計画」では、小規模分散型の太陽光、マイクロ風力・水力発電を視野に入れている。例えば風力では、電力50キロワット(kW)の発電設備10基の導入を検討。「地域で使う」を最優先させ、また送配電網への系統連系を考慮すると、1基2メガワットのような大型設備よりも、こうした「中型風力」が好都合なのだ。併せて、日中は蓄電池に充電して夜間に送電する「夜間連系太陽光発電」の設備を、田老発電所に隣接する敷地を候補地として設置検討を始めている。

   地域内経済の循環には「宮古市版シュタットベルケ」が軸となる。エネルギーの地産地消で得られる収益を、地域の公共交通の維持や福祉、教育、新たな再エネ事業への再投資のための財源として活用するのだ。「シュタットベルケ」とはドイツで行われている、公共事業を行う自治体出資の公社。宮古市版では公社の代わりに基金を作り、そこを通じて利益を市民に還元する。

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