「たのむ、誰か来てくれ」――山形県西村山郡朝日町のご当地キャラクター「桃色ウサヒ」による哀愁漂う呼びかけが注目を集めている。イベントのために遊園地に訪れるも、当日は雨。閑散とする園内で、虚ろな目で手招きしていた。
この様子がツイッターで拡散され、ホラーゲームのワンシーンのようだと話題になっている。
J-CASTニュースの取材に対し、ウサヒのツイッター担当者は2023年3月28日、こうした感想は「よくある反応」だと受け止める。
「なに、このウサちゃん...なんか怖い...」
桃色ウサヒは、朝日町の政策推進課と地域振興サポート会社・まよひが企画が協働で運営するウサギのキャラクターだ。好きなものは「うまい話」と「儲け話」で、いつも虚ろな目をしている。着ぐるみの中に人がいることは公言されている。公式サイトによれば、「突然の出演依頼にも決済なしで対応できるようにと、あえて『非公式PRキャラ』という肩書きになっている」という。
26日、東北地方最大級の遊園地・リナワールド(山形県上山市)に訪れた。遊園地のマスコットキャラクター「ステップくん」とご当地キャラクターたちのコラボイベントに参加するためだ。しかし雨が降り、日曜日の朝にもかかわらず遊園地は閑散としていた。
ウサヒのツイッター担当者は、ウサヒの写真とともに冒頭の文言をツイートした。薄暗い空の下、誰の姿も見えない遊園地にたたずむウサヒの写真は、多くのユーザーにインパクトを与えた。
「な、なに!?ホラーじゃなくてレトロ遊園地さん!?」
「人気のない遊園地で手招きしてる一体の着ぐるみは不気味」
「なに、このウサちゃん...なんか怖い...」
ホラーゲーム「サイレントヒル」のようだと例える声も多い。ウサヒはこうした声に応え、作中に武器として登場するチェーンソーをもった写真もアップしている。ツイートは29日正午までに約6000件のリツイート、3万3000件の「いいね」が寄せられるなど大きな反響があった。
ウサヒのツイッター運営を担当し、リナワールドでウサヒの「中の人」を担当していたのは、まよひが企画の代表・佐藤恒平さん。取材に対し、「開園時間(9時半)から30分経過した段階で写真のような状況だったので、集客したいという心の声をツイートしました」と振り返る。
ツイートの投稿後、ファンに出会えたのは午後に2組だけだったという。ツイッターのリプライ欄には、出会いそびれたとするファンもいたそうだ。
ウサヒの一押しはゲームセンターコーナーにあるアーケード
なかなかファンに出会えなかったものの、リナワールドにはたくさんのアトラクションがある。ウサヒのおすすめは、ゲームセンターコーナーにあるアーケードゲーム「タイムクライシス2」だという。1997年に登場したガンシューティングゲームを現在でも楽しむことができると推した。
佐藤さんは、お化け屋敷やミラーハウス、コーヒーカップといった昔ながらのアトラクションもあるとして、「平成の懐かしい遊園地を楽しめるスポット」などと説明する。
「リナワールドには先日なにわ男子が来て観覧車に乗っています(youtubeで配信されていました。ファンが聖地巡礼できています)
リナワールドの近くには、ネット界隈で結構有名なタワーマンション『スカイタワー41』」があります。画像検索していただくと、ああこれか!!ってなります」
スカイタワー41は、田んぼに囲まれた自然豊かな土地にある41階建てのマンションで、建物と周囲の風景のギャップから、インターネット上でかねて注目を集めている。
「目が虚ろ、覇気がない、可愛さ★1(5段階評価)」
ツイッターでウサヒが「怖い」と話題になったことについて、佐藤さんは慣れた様子だ。
「普段から、目が虚ろ、覇気がない、可愛さ★1(5段階評価)などと言われているので町関係者としては『よくある反応』という感じです」
ウサヒは、PRのためのキャラクターでありながら見た目が無個性なため、町外の市町村やスーパーマーケット、住宅展示場などでは、まるで備品の着ぐるみのように扱われているという。一方でウサヒの活動には実績もある。佐藤さんは、ウサヒの運営を通して総務省の「ふるさとづくり大賞」で2015年に総務大臣賞を受賞している。
朝日町の魅力などについて尋ねると、佐藤さんは次のように答えた。
「朝日町はリナワールドからだいたい1時間くらいのところにある人口6000人くらいの小さな町です。りんごとワインが特産品で、世界で唯一の空気を祀る神社『空気神社』があります」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
たのむ、誰か来てくれ。 pic.twitter.com/gc0ANVN8eA
— 桃色ウサヒ (@momoiro_usahi) March 26, 2023