「空耳文化」は永久に不滅!?
――空耳作品って、本当に有名な楽曲であっても、「こう聞こえたんだ!」として投稿してくる方がいらっしゃいました。そして、実際、そのように聞こえる場合は決して少なくはありませんでしたね。そう考えると、空耳とはネタが尽きることがない文化なのでしょうか?
安斎:空耳って現象ですからね。言葉が存在する限り存在し続けると言うことが出来ると思いますよ。空耳とは「映像のマジック」ですから。それまでは聞こえなかったフレーズが本当にそのように聞こえるように錯覚してしまうため、新しく焼き直すことは永遠に可能なんだと信じてます。
――なるほど!
安斎:実際、「ザ・ビートルズ」の楽曲である「I Want To Hold Your Hand」の一節で、タイトルの通り「I Want To Hold Your Hand」というくだりがありますが、空耳アワーではそこに「アホな放尿犯」というテロップを出しつつ、あたりに小便をまき散らす人が描かれていました。あれは本来聞こえないですよね。VTRがあって初めて、「アホな放尿犯」が成立するんですよ。
――空耳アワーのコーナーは1992年から始まりましたが、安斎さんはそれ以前に、「外国語の歌詞が、あたかも日本語であるかのように聞こえてしまう現象」という意味での空耳は楽しんでいらっしゃったんでしょうか?
安斎:楽しんでいたわけないじゃないですか(笑)! 確かに、空耳アワーが始まる前から、ラジオ番組で「外国語の歌詞が、あたかも日本語であるかのように聞こえてしまう現象」が取り上げられることはよくありましたが、空耳アワーは、やはり、「映像をつけた」という所が画期的だったんです。人間、やっぱり、「絵の力」に引っ張られるんですよ。僕、本業はイラストレーターだから、やっぱり、絵が持つ「魔力」のすごさには気付いてしまいますね。