農業アイドル「愛の葉Girls」の大本萌景さんの自死を巡り、遺族が所属事務所「Hプロジェクト」に損害賠償を求めた訴訟で敗訴したことを受け、同社の佐々木貴浩社長は2023年3月27日、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」に対して申入書を送付していたと明かした。
裁判に関する報道姿勢に抗議し、謝罪を求めたものの、局からは「中立性、公平性、公正性に配慮した放送を行ったと考えております」と回答があったという。
「おびただしい数の脅迫、嫌がらせに怯える日々」
Hプロジェクトの発表によれば、大本さんの自死とその裁判について、読売テレビに申入書を提出しており、3月14日に回答があった。
同社は、大本さんの自死の原因などを争点に遺族と複数の訴訟を抱えていた。一連の裁判の勝訴を受け、佐々木氏および代理人弁護士は、「ミヤネ屋」に遺族側の主張に沿った放送を繰り返した経緯や、謝罪、再発防止を求めて読売テレビに申入書を送った。
佐々木氏は、遺族に損害賠償を求められた裁判の控訴審判決(2023年1月13日確定)の後、「この裁判が起こされた当時、萌景さんの自殺の原因は私たちHプロジェクトの側にあると決め付けた内容の報道が多数行われました。それは、ご遺族側の弁護士たちが記者会見で述べた事実無根の内容が、そのまま報道されたからです」と振り返り、「私はもちろんのこと、弊社のスタッフや家族に至るまで、おびただしい数の脅迫、嫌がらせに怯える日々を送りました」と報道被害を明かしていた。
「この場で名指しすることはしませんが、心当たりのあるメディアにおかれては、弊社と愛の葉Girls、何よりも、亡くなった萌景さんの名誉を回復するための報道を行っていただきたく、お願い申し上げます」と報道機関に要望していた。
遺族側の代理人弁護士が所属する「日本エンターテイナーライツ協会」は、提訴時に行った記者会見の報告書で、「夕方のニュース番組(日本テレビ系列「ミヤネ屋」)を皮切りに、たいへん多くのテレビ番組(報道番組と情報番組)で取り上げていただきました。すでに海外メディアでも報じられており、取材の申込みも多数いただいています」と記していた。
「大変残念な回答であると言わざるを得ません」
読売テレビからは、記者会見があった2018年10月11日と、12日、15日の3日間にわたって報道したものの、「原告側、被告側それぞれの主張等について、中立性、公平性、公正性に配慮した放送を行ったと考えております」と回答があったという。
Hプロジェクトが記者会見で名誉を傷つけられたとして遺族側を相手取った訴訟も、ミヤネ屋では23年3月1日に判決を取り上げたと付言し、「いただきましたご意見もしっかりと参考にさせていただき、今後も、中立、公平、公正を心がけた番組制作につとめてまいります」とする。
佐々木氏は「到底そのような放送内容であったとは思えず、大変残念な回答であると言わざるを得ません」と断じ、「(3月1日の放送は)1分45秒に過ぎませんでした。訴訟提起時にはあれだけ時間を割き、何度も特集を組んだのに比して、あまりにも短いのではないでしょうか」と不服とした。
佐々木氏は「今回の申入書は大変残念な結果となってしまいましたが、今後も引き続き報道の公平性を求め、できる限りの活動をしていく所存です」としている。