なぜ赤裸々な「問い合わせ」を採用したのか
従来のミルクティーの発売とともに、昨年3月に登場したロイヤルミルクティーは終売となる。1年での再変更に抵抗は無かったのか。森永乳業はロイヤルミルクティーも多くの人に支持されていたことから、社内では何度も慎重に検討を重ねていたと明かす。
しかし23年3月までに667件もの再販を希望する声が押し寄せられたため、もとの味わいに戻したミルクティーの販売を決意した。商品パッケージには、ファンに向けて次のようなコメントを載せている。
「待たせて、ごめん。あの日、勝手に味を変えてごめんなさい。あなたが"もとの味に戻して"と手紙をくれたから。森永乳業史上最多のご意見が届いたから。もとの味に戻しました。だかれこれは新発売ではなく、もとの味で、旧発売」
プロモーションには、電通PRコンサルティングが携わった。取材に対し、アニメーションにファンの声を採用した狙いについて、商品を飲んだことが無い人にもその熱量を客観的に伝えることだったと明かす。
「復活してほしいことを懇願するファンのみなさまの実際のドラマチックな言葉にこそ、リプトンミルクティーの『価値』がぎゅっと圧縮されているように感じ、そのお声の数々を、ラブレターに見立てて『アニメ』として公開することを企画しました」
アニメーションは青春恋愛アニメのセオリーをすべて詰め込んだと自負する。台詞だけでなく主題歌の歌詞、映像内のイラストにも問い合わせ文言を入れることについては、「いかに違和感なく入れられるかが肝」だったという。特設サイトでは、採用した客からの問い合わせ内容と、その受け止めなどを紹介している。