プロボクシングの元WBCバンタム級暫定王者・井上拓真(大橋、27)が2023年4月8日に東京・有明アリーナで行われるWBA世界バンタム級王座決定戦に出場し、同級3位リボリオ・ソリス(ベネズエラ、41)と王座を争う。
王座決定戦は実弟・尚弥(大橋、29)が王座を返上したことにより設定され、尚弥が王座を返上した他の3団体(WBC・WBO・IBF)もそれぞれ王座決定戦を予定している。拓真は兄・尚弥が保持していたベルトを巻くことができるのか。そして3団体の王座の行方は...。
「ドネアは極端にもろくなってしまっているかもしれない」
J-CASTニュースは、TMKジムの金平桂一郎会長(57)に世界バンタム級4団体の王座決定戦を占ってもらった。
WBA王座を争う拓真とソリスは共に元世界王者だ。拓真は18年12月にWBC暫定王座を獲得。一方のソリスは元WBA世界スーパーフライ級王者で、16年3月にWBC世界バンタム級王者・山中慎介に挑戦して判定負けを喫した。
金平会長は「ソリス選手は非常にテクニシャンでうまいという印象があります。山中選手には敗れましたが、試合巧者でうまい。日本での知名度が高く実績もありますが、年齢的な衰えは否めないと思います。拓真選手は一時期スランプ気味に見えましたがここ最近の立ち直りは著しい。拓真選手がアグレッシブにいけば後半KOもあると思います」との見解を示した。
WBC王座は世界5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン、40)と同級4位アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ、27)による王座決定戦が見込まれる。ドネアは22年6月に尚弥と対戦し2回TKO負けして以来リングから遠ざかっている。対するアレハンドロは18年9月にIBF世界スーパーフライ級王座に挑戦して引き分けている。
金平会長は「並の選手がドネア選手と対戦しても勝てないでしょう」と前置きし「ただ注目すべきは尚弥選手と対戦した時のダメージです。実績、実力からすればドネア選手だが、尚弥選手との試合のダメージをどれだけ引きずっているのか。かなり時間が経っているのでダメージが抜けているとはいえ、それがどの程度が見えない。極端にもろくなってしまっているかもしれないなどの不安要素はある」と解説した。
「モロニー選手は人柄が良く真面目」
WBO王座は同級1位ジェイソン・モロニー(オーストラリア、32)と同級2位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン、25)による王座決定戦が見込まれる。モロニーは20年10月に尚弥に挑戦し7回KO負けを喫したが以降は4連勝を飾り世界1位にランクされた。アストロラビオは22年2月に世界2階級制覇のギレルモ・リゴンドー(キューバ、42)と対戦して判定勝利を収めた。
モロニーは今年1月に来日し、金平会長のジムに所属する元世界2階級制覇の亀田和毅(TMK、31)とスパーリングを行った。日本に約3週間滞在し、金平会長はモロニーと親交を深めたという。
金平会長は「モロニー選手は人柄が良く真面目。テクニックとパンチがある。すごいハードパンチャーというわけではないが、ボクシングがまとまっている。アストロラビオ選手と対戦することになった場合、判定ならモロニー選手。KOならアストロラビオ選手の勝利だと思います。ただ個人的にはモロニー選手に勝ってほしいですね」と語った。
IBF王座は、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ、30)とメルビン・ロペス(ニカラグア、25)の対戦が見込まれる。ロドリゲスは19年5月にIBF王者として尚弥と対戦し、2回TKO負けを喫し王座陥落。一方のロペスは元NABA北米バンタム級王者で世界戦の経験はない。
金平会長は「ロドリゲス選手は尚弥選手に負けたとはいえ実力のある選手。ロペス選手は好成績を維持していますがロドリゲス選手のキャリアに比べると見劣りします。ロドリゲス選手は元世界チャンピオンで本来強い選手なので実力差はあると思います」とし、「まだ正式決定していませんが、ドネア選手、モロニー選手、ロドリゲス選手が王座決定戦に出場すれば順当に勝つと思います」と分析した。