「主人公の『焦り』『困惑』の表現としても機能」
視聴者を魅了した「嘘だろ」の多用だが、「ネットと朝ドラ」の著書で知られるドラマに詳しいライターの木俣冬氏はこのセリフの効果について以下のように指摘する。
「まず『嘘だろ』と主人公に言わせることで、『このドラマは嘘みたいなありえない話をわざとやっています』とあらかじめお断りしたのだと思います。それに加えて、最初は主人公の『素直な心情吐露』でもありました」
しかし、作中で多用されていくことで、本来ならば信じられない状況に対して使う言葉であろう「嘘だろ」が微妙に意味を変えながら様々な効果を発揮していたとも明かす。
「同じフレーズが繰り返されることで、『嘘だろ』と言いたい状況が続くことへの主人公の『焦り』『困惑』の表現としても機能するようになりました。やがて、それが決め台詞的な『アクセント』として活用され、視聴者の『ツッコミたい気持ちの代弁』とメタ化していったように思えます。短いセリフで状況や心情を説明できる、誰にもわかりやすい平易な言葉を考えた脚本家もすばらしいし、櫻井翔さんが場面ごとにニュアンスを変えようと工夫していたのも良かったと思います」