「ぼう走ぞくへ」フェイク画像拡散も...ツイッター新機能躍動 「恣意的に編集されたコラージュ」と注意喚起

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   「ぼう走ぞくへ」――こんな一文から始まる小学生の詩だという画像が、「辛らつすぎる」としてツイッターで拡散している。

   しかし、詩集を改変した「フェイク画像」だった。騙された人は数多くいたものの、ツイッター社の新機能「コミュニティノート」が真偽判定に一役買った。

  • ツイッター社ウェブサイトより
    ツイッター社ウェブサイトより
  • 拡散したコラ投稿(モザイクは編集部)
    拡散したコラ投稿(モザイクは編集部)
  • ツイッター社ウェブサイトより
  • 拡散したコラ投稿(モザイクは編集部)

「過去最高いいね数!」

   フォロワー数が1万以上のツイッターアカウントが2023年3月21日、「直球すぎて好き」と本の中身を写したとみられる画像とともにつぶやいた。

   「ぼう走ぞくへ」とのタイトルの詩で、作者である小学生の名前もフルネームで記載されている。中身は「しね」のみだった。

   投稿は24日現在で670万以上もインプレッション(表示回数)を記録し、リツイートも2万5000以上されている。投稿者は反響に「過去最高いいね数!いいね、RT、拡散してくれた方々本当にありがとうございます」と感謝し、複数のツイッターアカウントを宣伝する投稿もしていた。

   しかし、元の画像を改変した「フェイク」投稿だとの指摘も少なくない。2017年に同様の写真が拡散したが、その際の中身は「ぼう走ぞくとかいって ただ走ってないで 新聞でも くばって走れ」と、誹謗中傷するような内容ではなかった。

   J-CASTニュースが調べたところ、この詩は、読売新聞で掲載している人気コーナー「こどもの詩」をまとめた書籍『こどもしっぽ』(中央公論新社)に収められていることが分かった。実際に購入して確認すると「ぼう走ぞくとかいって~」が正しく、「しね」とは一切書かれていない。

   投稿者に取材を申し込んでいるが、24日17時現在までに返事はない。

「冗談や虚偽と分かりにくい加工をしている」

   投稿の反応を見ると、見慣れない表示が目立つ位置に掲出されていたとして、戸惑ったり感嘆したりする人がいた。

   そうしたユーザーの画面には、投稿の直下に「閲覧したユーザーが他のユーザーにとって役立つと思う背景情報を追加しました」と書かれた枠が出現していた。ある人には「この画像は恣意的に編集されたコラージュであり、本来の文面とは違うものです」、別の人には「実名が写った写真にも関わらず、冗談や虚偽と分かりにくい加工をしている。元ネタは『ぼう走族とかいって ただ走れ』です」と説明書きがされている。いずれも、参照したリンクが添えられていた。

   ツイッター社からのメッセージとして「このノートは、小規模なテストグループに表示されています」とも記されていた。

実際の表示画面(読者提供、モザイクは編集部)
実際の表示画面(読者提供、モザイクは編集部)

   これは米ツイッター社が試験導入している「コミュニティノート」というファクトチェック機能だ。ツイッタージャパンが3月23日、日本でも導入開始したと報告し、協力者を募っている。

   ツイッター社は「誤解を招く可能性があるツイートに、Twitterユーザーが協力して役に立つノートを追加できるようにすることで、より正確な情報を入手できるようにすることを目指しています」と説明しており、集合知を使ったデマ、誤情報対策の一環とみられる。

   仕組みはこうだ。プログラムに参加する一般ユーザーが、気になるツイートに「ノート」を作成し、情報を補足する。ノートは他の協力者から「役に立った」かどうか評価され、有益と判断されると全体に表示される。「幅広いユーザーにとって役に立つノートを特定するため、過去の評価において、評価が相違することのあった協力者の間で『役に立つ』という評価が一致することがノートには求められます」と単なる多数決ではないという。

   実際に表示された10代の男性は、J-CASTニュースの取材に「元画像を知っていたのでコラ画像だとひと目見てわかったため、あまり役には立たなかった」とするも、「他の話題になっているツイートではそれが炎上した背景などがわかり役立つと感じました」と答えた。

   10代の女性は「この機能が追加されたことにより捏造された情報が拡散されることが少なくなるのではと期待しています」と評価した。

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