掴みとしてChatGPT活用
大学関係者が式辞の模様をツイッターで紹介すると広く拡散し、「面白い」「結婚式の挨拶とかでも使えそう」とさまざまな意見やアイデアが寄せられている。
下山学長は3月22日、J-CASTニュースの取材に「いわゆる勉強(学習)と類似するものとして、文章を学習して生成するChatGPTを式辞で引き合いにだしました」と意図を説明する。
式辞では、オックスフォード大の教授が10年前に発表した論文「雇用の未来―コンピューター化で仕事はどれだけ影響を受けるのか」を取り上げ、AIの得意・不得意分野の違いについて持論を述べた。
その上で卒業生には、AIには解決が難しく、教科書での勉強では答えが分からないような課題に挑戦してほしいと呼びかけた。例として少子高齢社会や持続可能社会が持つ課題を挙げた。
下山学長に改めて「ChatGPT式辞」の感想を聞くと、「これまでも妻には式辞の分かりやすさや聞きやすさについてアドバイスをもらっていて、常に、妻は私のよき理解者であり、コメントも的確でした。今回のChatGPTが生成した文章に対する妻の反応も、私の期待通りで、二人の意見が合ったとおもいました」と"ダメ出し"には納得しているようだ。
反響への受けとめについては「ChatGPTが生成した文章を数行式辞に引用したことだけが注目を浴びることなく、その先に、私が気合をいれて作成した、式辞での展開、及び、式辞全体の趣旨を読み取っていただきたいと考えています」とする。授与式の模様は、大学のユーチューブで公開している。
ChatGPTの将来性はどう考えているか。ただのブームで終わらず、社会に欠かせないツールとなりうるのか。下山学長は「コンピュータが扱えるデータで、かつ、定型的で再利用可能なものについては、その組み合わせや帰結となる文章のAIによる生成が使われるようになっていくのではないでしょうか?ただし、ChatGPTの生成した内容の判断、吟味、根拠の確認は私たちに委ねられます」との見解を示した。