栗山監督にとって村上宗隆は「選手を信じる」象徴 プロ同期のWBC元コーチ、起用継続巡り見解「外せば嘘つくことに」

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   ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝戦が2023年3月22日、米マイアミのローンデポ・パークで行われ、日本が米国を3-2で破り3大会ぶり3度目の優勝を飾った。

   栗山英樹監督(61)指揮のもと、14年ぶりに世界の頂点に立った侍ジャパン。J-CASTニュース編集部は13年WBCで戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(57)に決勝戦の内容を分析してもらい、今大会における栗山監督の采配について解説してもらった。

  • 侍ジャパンを率いた栗山監督(写真:AP/アフロ)
    侍ジャパンを率いた栗山監督(写真:AP/アフロ)
  • 侍ジャパンを率いた栗山監督(写真:AP/アフロ)

「中村選手のスタメン起用が功を奏した」

   橋上氏が決勝戦のポイントとして挙げたのが日本の2回の攻撃場面だ。

   1点ビハインドで迎えた2回、先頭の村上宗隆内野手(ヤクルト、23)がソロ本塁打を放ち同点とすると、1死満塁からラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス、25)の1塁ゴロの間に3塁走者が生還し逆転に成功した。

   橋上氏は「アメリカにしてみれば先制した直後に失点をするというのは一番避けたかったでしょう」とし、ヌートバーの打席の前に四球を選んで出塁して1死満塁のチャンスを作った中村悠平捕手(ヤクルト、32)を高く評価した。

「あそこで中村選手がフォアボールをもぎ取って繋いだことが大きかった。中村選手に派手さはないが、攻撃面で脇役に徹してチームに貢献しました。決勝戦では誰をキャッチャーに起用するか注目していましたが、打撃の良い中村選手が起用されました。決勝戦では2つのフォアボールを選び攻撃面での貢献は非常に大きかった。中村選手のスタメン起用が功を奏したと思います」

   大会を通じて栗山監督が不調の村上を起用し続けたことも優勝した大きな要因だったと指摘した。橋上氏は栗山監督とヤクルトの同期で、ともに83年に入団している。橋上氏は高卒で栗山監督は大卒と4歳の差があるものの、現役時代から親交があり性格をよく知っているという。

   橋上氏は「村上選手を使い続けたのは栗山監督の信念だと思います。これを貫き通して準決勝、決勝で実を結んだと思います」と語り、次のように続けた。

「大会を通じて球を選ぶことが徹底してできた」

「他の監督だったら村上選手を途中で外したかもしれません。栗山監督はことあるごとに『私は選手を信じるだけだ』とおっしゃっていた。自分の中で村上選手を外したら自分は選手に嘘をつくことになると思ったのでしょう。村上選手を使い続けることが選手を信じている証なんだと」

   さらに「村上選手と心中する覚悟があったと思います。なおかつ村上選手を使い続けて負けた場合、『悪いのは自分だ』と責任を自分でかぶる決意はあったと思います。栗山監督は非常に芯の強い人で意外と頑固なんです。選手を信じるという象徴が村上選手を使い続けたことだった。最後に村上選手がそれに応えた。決勝戦のホームランもすごかったです」と解説した。

   橋上氏は今大会を通じて「新生」侍ジャパンを見たという。

「日本の秀でたところは選球眼です。大会を通じて球を選ぶことが徹底してできていた。加えて決勝戦で山田選手が盗塁したようにこれまでのスモールベースボールを取り入れながらパワーでも世界と四つを組んだ。岡本和真選手(巨人、26)、村上選手らがメジャーリーガーに匹敵するようなホームランを放ち、今までになかった侍ジャパンの戦い方でした。選球眼の良さと機動力。これを兼ね備えて総合力で世界一の名にふさわしいチームだったと思います」

   スポーツ紙などの報道によると、栗山監督は決勝戦後、今大会を最後に侍ジャパンの監督を退任する意向を示した。

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