歓喜の輪の中心に、大谷翔平がいた。
米国とのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝。「3番・指名打者」で出塁すると、試合途中に何度もブルペンへ。小刻みな継投策で米国打線の反撃を2点でしのぐと、9回に大谷がマウンドに上がった。
最後の打者は同僚・トラウト
先頭打者のティム・アンダーソンに四球を与えたが、1番のムーキー・ベッツを157キロ直球で二ゴロ併殺打。そして、最後の打者はエンゼルスのチームメートで、メジャーを代表する強打者のマイク・トラウト。
160キロを超える直球で追い込むと、6球目の140キロスライダーで空振り三振に。雄叫びをあげると、帽子やグラブを投げて喜びを爆発させた。
今大会は投手として3試合登板し、2勝0敗、防御率1.86。1次ラウンドの初戦・中国戦、準々決勝のイタリア戦で先発を託され、決勝の米国戦は守護神で締めくくった。
打撃でも3番で全7試合にスタメン出場し、打率.435、1本塁打、8打点。出塁率と長打率を足したOPSは1.345だった。
どの試合も活躍が印象深いが、豪州戦で初回に東京ドームの右中間の看板に直撃した特大の先制3ラン、準決勝のメキシコ戦で1点差を追いかける9回に右中間にはじき返し、帽子を投げ捨てて二塁に到達した執念の打撃が強烈だった。
「投打で対戦国にかける圧力凄かった」
投打でメジャートップレベルの選手として、存在感は唯一無二だった。
米国戦前の円陣では、声出し役で味方を勇気づけるメッセージが。侍ジャパンの公式ツイッターで配信された動画によると、
「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう。一塁にゴールドシュミットがいて、センター見たらトラウトがいて、外野にはムーキー・べッツもいる。野球をやっていたら誰しもが聞いたことあるような選手がいると思うんですけど、今日一日だけは、憧れてしまったら超えられないので。僕らはきょう超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは、彼らへの憧れは捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、いこう!」
と力強くナインに呼びかけた。
スポーツ紙記者は「こんな選手は二度と現れないでしょう。大谷が投打で対戦国にかける圧力は凄かった。WBC決勝戦に指名打者でスタメン出場し、最後は投手で抑えて勝つ。こんな選手は2度と現れないでしょう」とうなる。
大谷伝説に、新たな勲章がまた一つ加わった。(中町顕吾)
It was a movie ending for Shohei Ohtani striking out Mike Trout to win the World Baseball Classic pic.twitter.com/nz6E14GWHs
— Flippin' Bats Podcast (@FlippinBatsPod) March 22, 2023