特急のラストランを撮ろうと、鉄道ファンの若い男性2人がカメラを持って石川啄木の歌碑に土足で上がる様子を撮った写真がツイッターに投稿され、危険な行為だと指摘されている。
当時、東京都台東区内のJR上野駅には、鉄道ファンが多数集まり、ホームが混雑していた。JR東日本の首都圏本部は、「ケガにつながり危ないですので、止めていただきたいと思っています」と取材に話した。
「651系」特急がラストランを迎え、鉄道ファンがホームに集結
「ふるさとの 訛なつかし...」。夢をかなえようと東京に出てきた啄木は、ふるさと岩手を懐かしんで、代表作にその思いを込めた。
この歌碑は、JR東日本によると、ロータリークラブの30周年記念事業の一環として、東北新幹線の上野駅乗り入れが実現した1985年にJRに寄贈された。上野駅・15番線ホームの線路行き止まり付近にあり、ふるさとを思う人々に長く親しまれ、人気の撮影スポットにもなっている。
ところが、ツイッターで2023年3月17日、その歌碑に土足で上がる男性2人がいたと写真が投稿された。
リュックを背負った若い男性2人が、カメラを持って斜面になった歌碑の表側に立って話をしている。周辺には、同じようにカメラを持った男性ら10人ほども写っていた。
この日は、JR東日本初の特急として1989年にデビューした「651系」が、ダイヤ改正でラストランを迎えていた。651系は、JRとしては異色のグレーの特急で、当時は「タキシードボディのすごいやつ」のキャッチコピーで呼ばれた。「スーパーひたち」として常磐線を走った後、「草津」「あかぎ」などとして高崎線を走っていた。
上野駅では、この特急の見納めとして、ホームにカメラを持った鉄道ファンが集結した。ツイッターなどに動画が投稿されており、それらを見ると、651系が汽笛を鳴らして出発すると、一斉にシャッターを切る音が響き、「ありがとう」の大合唱が起きていた。
目撃者「2、3分して駅員に注意され、歌碑から降りた」
写真の投稿者は3月20日、J-CASTニュースの取材に答え、鉄道ファン2人が歌碑に上ったのは、17日の19時50分ごろだったと明かした。ラストランでは、最終となる臨時列車の1本前にも、651系が20時に上野駅を出発しており、2人は、出発前の停車中に歌碑に上っていたという。
2人は、2、3分上った後、駅員に注意されて、歌碑から降りたとした。他に歌碑に上る人はおらず、投稿者は、「ありえない行為だと思います」と憤った。
ホームには、鉄道ファンが300人以上はいたといい、歌って騒いでいるグループもあったという。
JR東日本首都圏本部の広報課は20日、男性2人が歌碑に上った行為について、「特に把握はしていません」と取材に答えた。ただ、写真の状況については、こう話した。
「高いところですし、本人のケガ、周りの人のケガにつながります。危険ですので、止めていただきたいと思っています。他のお客様に迷惑がかかりますので、そのような行為があれば、お声かけをしています。歌碑が破損したということは、聞いていません。ホーム上で、脚立や三脚を使った撮影も危ないので、止めてほしいと案内を出しています」
17日は、鉄道ファンが多数集まったというが、トラブルやケガといった情報はないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)