「緊張でスローに見える」研究の実験ディスプレイ、なぜあえてブラウン管型? 教授に聞いた液晶型との違い

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なぜ「ブラウン管型ディスプレイ」のほうが良いの?

   なぜ、液晶画面よりもブラウン管型ディスプレイのほうが良いのか。一川教授は「光を提示する際の原理」に違いがあると説明する。

「ブラウン管型では、PCからの電圧信号の入力に対して、それぞれの画素の部分に銃で光子を飛ばすことで光を提示するという、とても『直接的』な原理を用いています。信号が入れば光が提示され、信号がなくなれば光は提示されなくなります。 他方、液晶型では、PCからの電圧入力によってディスプレイ表面のフィルター中の液晶分子の方向を揃えることで、バックライトの光を遮るシャッターを形成するという『間接的』な光の提示方法を使っています」

   ブラウン管型ディスプレイでは直接的な光の点滅で表現するのに対し、液晶画面はバックライトとして常に光が灯っている。

「バックライトとしてRGBの光はずっと提示されていて,それを遮る液晶シャッターの開け閉めで光を提示するので,シャッターの駆動とその解除にどうしてもそれなりの長さの時間がかかることになります」

   このシャッターによるわずかな遅延が、研究には大きな影響を与えてしまう。

「液晶の反応特性は技術改善でどんどん速くなっていますが、それをいくら速くしても数ミリ秒はかかってしまいます。 視覚の時間分解能を測定するためには、10ミリ秒程度の遅れがあっても影響を受けるため、液晶のディスプレイをつかって正確な測定を行うのは困難と考えられています」
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