「みんなで幸せになる」地域づくりを 震災で住民激減も...福島・葛尾村が見据える100年後

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訪問者に村の魅力を見つけてもらう

   下枝さんは、訪問者が「村の魅力を自分から発見するように仕掛けていきたい」と語る。葛尾村には、全国的に有名な観光スポットはない。むしろ観光地として売り出すのではなく、訪れた人が自ら「私は葛尾村が好き」と愛着を持ってもらう対象にしていくのだ。

   さらに、村民の喜びを訪問者の喜びとリンクさせたい。地元の人に「何が幸せか」を質問すると、「大変だったけど楽しかった」のがコメ作りだった。長年、村を支えてきた産業だ。その言葉をヒントに、田植えや稲刈り体験をスタートした。村民の日常だったコメ作り。その魅力を、外から来る人との交流を通して「見える化」するのだ。

   参加者は村民と、県内外から来た若者。人数はあえて多くしなかった。「地元の人にとっては、『知った顔』がいいんですよ」。大勢集めすぎると、かえって混乱してしまう。

   こうした「場」の提供に加えて、参加者全員に自己紹介を促して会話のきっかけを設けるなど、誰もが自然に仲良くなれる工夫をした。地元のお年寄りには、若者たちと「孫のつもりで」接してほしいと頼んだ。下枝さんによると、葛尾村のおじいちゃん・おばあちゃんは自分の孫に愛情は注ぐが、「そんなにヨイショしない」。この「いつもの態度」が「仮想家族」の関係を生み、気に入った若者たちがリピーターとなっていった。

   村のファンを作る――。これが葛力創造舎のミッションだとする下枝さん。実際にそれが理由で移住してきた若者もいる。2020年以降の「コロナ禍」では、地方への移住はむしろ追い風になったと感じている。

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