共産党の志位和夫委員長の辞任を求める内容の著書を出版した古参党員の鈴木元氏(78)が、規約上最も重い除名処分を受けた。鈴木氏は2023年3月17日に都内で記者会見し、著書で展開した主張について「ますますそう思いますね」などと語った。
共産党は23年2月、鈴木氏と同時期に著書を出した古参党員の松竹伸幸氏(68)を除名したばかり。松竹氏の除名には批判も多く、4月に予定される統一地方選への影響も指摘される。そんな中で著書出版をめぐる2人目の除名だ。鈴木氏は、統一地方選の影響が次期衆院選にも波及し「大ダメージを受けることになる」と警告している。
党員歴60年、京都府委員会常任委員も務める
鈴木氏は党員歴60年の大ベテラン。京都府委員会常任委員を務めたこともあり、27年間にわたって党職員として勤務した。問題視されたのは、著書「志位和夫委員長への手紙」(かもがわ出版)だ。共産党の京都府委員会の発表では、処分の理由を大きく(1)著書の出版で党を「誹謗・中傷」した(2)松竹氏の著書と出版のタイミングを合わせるために執筆を急いだことで「党攻撃のための分派活動の一翼をになった」、と説明している。3月15日に府委員会常任委員会が除名を決定し、3月16日に「中央委員会がこれを承認し確定」した、としている。
鈴木氏は記者会見で「除名される筋合いはない」と処分を批判。その理由を
「私の書いていることは全部事実で、府委員会でのやり取りでも私が提起している事実を否定できない」
と説明した。鈴木氏は処分の撤回を求めていく考えだ。松竹氏は24年1月に行われる見通しの党大会で再審査を求める考え。一方、鈴木氏は「私がそれをするかどうか、今のところ何とも言いません」と話した。
「1か月ほどの間で共産党の社会的地位を大きくイメージダウン」
著書で展開した主張については「ますますそう思いますね」と話し、松竹氏の除名をめぐって共産党が社会的批判を受けていることを指摘、
「このわずか1か月ほどの間で共産党の社会的地位を大きくイメージダウンさせてしまった。僕まで(除名処分を)やる。ますますあなたは党を混乱させているだけだ」
として、志位氏の辞任と党首公選制の導入を改めて求めた。
統一地方選については、
「単なる『2人目』ということではなく、共産党そのものが問われる。処分のあり方ではなく、共産党のあり方そのものが問われることになりかねない。それは多分、一斉(統一)地方選挙で相当議席を減らす、ひとつの要因になる可能性がある」
と、厳しい見通しを示した。
府委員会に呼び出された際には
「総選挙で大ダメージを受けることになる」
と警告したことも紹介した。共産党は21年の衆院選で、唯一の小選挙区の議席を守る一方で、比例は11議席から9議席に後退。統一地方選の余波で衆院選の比例票が減れば議席数に直結する構造で、鈴木氏は
「こういうふうにした志位指導部の責任は非常に大きい」
と述べた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)