東京都内の人気ラーメン店が、YouTubeの動画などを見ながら食事する「ながら」利用の禁止に踏み切った。
麺が伸びて味が落ちる上、他の客へ迷惑になりうるためだ。「ご遠慮を申し出てもキレられる」トラブルもあり、悩みの種だった。
コショウなどの薬味にiPhone立てかけて...
ラーメン激戦区の東京・高田馬場にある「博多ラーメンでぶちゃん」。1日200人ほどが訪れる人気店で、食べログで評価の高い「TOP5000」にも選ばれている。
店主の甲斐康太さんは2023年3月16日、「そろそろYouTubeなどの動画見ながらラーメンを食べる『ながら食い』禁止にしようかな。※のびて劣化するラーメンに限る」とツイートした。スマートフォンを片手に食事する風景は珍しくないが、思い切って禁止を検討するという。
写真撮影は問題ないとし、「高菜やコショウなどの薬味にiPhone立てかけてYouTubeに集中してラーメンそっちのけ。そして満席で待ちのお客さんがいる。完全にNGだし、ご遠慮を申し出てもキレられる意味はわからん」と苦悩を打ち明けた。
甲斐さんは17日、J-CASTニュースの取材に、ツイート後に禁止に踏み切ったと答える。
「ながら食い」の割合は1、2割で、「20年以上前からの新聞、漫画に始まり、10年くらい前からスマホの普及と同時に一気に目立つようになりました」と背景を説明する。
「飲食店はご自宅ではありません」
悪気なく「ながら食い」をする客は少なくないとみられるが、店は頭を抱えていた。
ラーメンはすぐに麺が伸びてしまい「とても短命」のため、「魂込めて作っているラーメンが目の前でダメになっていくのは辛い」と甲斐さん。
満席時には回転率にも響く。「外で待たれているお客様もいらっしゃいます。先客の食事を待つならまだしも、動画を見ながらのんびりしている先客を待つのは耐え難いのではないでしょうか」と周囲への影響を指摘した。
困ったときは、低姿勢で「ながら食い」をやめるようお願いする場合もあるが、たびたびトラブルになってしまう。「半数以上は不機嫌になり、残して帰る人もいたりします。外に待ってるお客様がいることを伝えても不機嫌なさまには変わりはないですね」。
甲斐さんとしてはなるべく禁止事項を設けたくないのが本音だが、「あまりにも常識を逸脱しているお客様には、他のお客様に迷惑をかける」ため、苦渋の末に禁止を決めた。
「リラックスして自分の好きなスタイルで食事をされているのかと思いますが、飲食店はご自宅ではありません」と毅然とした態度を示し、「他のお客様を尊重しつつ食事の時間を楽しんで頂けると幸いです。お酒を飲んだり仲間と楽しむ時間でもあるので、せめてラーメンが提供されてからはラーメンを楽しんで頂きたいです」と要望した。