韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が2023年3月16日午前、羽田空港に到着し、2日間にわたる日本訪問の日程が始まった。国際会議などをともなわず、韓国の大統領が単独で訪日するのは11年以来12年ぶり。テーマのひとつが定期的に相互訪問する「シャトル外交」の復活で、首脳外交にとどまらず、コロナ禍で細った民間の往来の回復も課題だ。
両国の水際対策の緩和で往来は回復基調にあるものの、両国間で温度差があるのが現状だ。韓国から日本への旅行者数は「コロナ前」の19年比で7~8割まで戻ったのに対して、日本から韓国に行く人は19年比3分の1程度にとどまっている。尹氏は訪日前の閣議で、「コロナ後」の日本人の韓国旅行熱の高さを指摘しており、「経済界と未来世代の内実ある交流協力プラン」の必要性に言及している。日本滞在中の日程でも、両国の往来の重要性を強調する場面がありそうだ。
韓国→日本は「コロナ前」8割まで回復、日本→韓国は3分の1
韓国観光公社が2月24日に発表した、23年1月に韓国を訪問した観光客数は43万4429人。22年1月(8万1851人)の5.3倍に激増した。だが「コロナ前」の19年1月(110万4803人)と比べると39.3%の水準に過ぎない。国・地域別に見ると、最も多いのが日本の6万6900人。2位以降は台湾の4万9477人、米国の4万9120人と続いており、日本が特に多いことが分かる。 この6万6900人は、22年1月(1162人)の約58倍にあたるが、19年1月の20万6526人と比べると32.4%。3分の1の水準だ。
一方、日本政府観光局(JNTO)が発表した23年1月の訪日外国人客数(推計値)は149万7300人で、「コロナ前」の19年1月の55.7%の水準に回復した。最も多いのが韓国の56万5200人。コロナ前の72.5%だ。3月15日には2月の統計が発表されたばかりで、さらに回復傾向は鮮明だ。訪日外国人客数全体は147万5300人で19年2月比56.6%。そのうち韓国からは56万8600人で、同79.4%だ。