侍ジャパンが2023年3月16日、WBC準々決勝でイタリアと対戦する。1次ラウンドでオランダ、キューバと強豪国を破ってきた相手は「隙のない野球」を標榜している。監督はマイク・ピアザ。現役時代に野茂英雄とバッテリーを組んだことが印象深く、通算427本塁打をマークし、強打の捕手として活躍した。指揮官としては緻密な野球に定評がある。データに基づいた守備を敷き、犠打など小技を多用。長打力には欠けるが、コンパクトな打撃で簡単には凡退しないだけに、神経を使う。
「決勝ラウンドで救援登板を見たい気持ちがありますが...」
トーナメント制の1発勝負で絶対に負けられない。侍ジャパンの先発は大谷翔平(エンゼルス)。今大会ラスト登板になる可能性が高い。そして、2番手で救援登板する可能性が高いのが、ダルビッシュ有(パドレス)だ。10日の1次ラウンド・韓国戦では2ランを被弾するなど3回3失点と本来の投球ができなかったが、きっちり修正してくるだろう。気になるのは、ダルビッシュの今後の登板予定だ。
メジャーを取材する記者は「大谷と同様に今回のイタリア戦がラスト登板になる可能性が高いのでは。所属しているパドレスとすれば、シーズンを見据えて心身に負担が掛かる登板は避けたい。決勝ラウンドで救援登板を見たい気持ちがありますが、実現は厳しいと思います」と指摘する。
思い出されるのは、09年WBCだ。当時22歳のダルビッシュは松坂大輔、岩隈久志と共に先発3本柱として期待されたが、守護神・藤川球児の状態が良くなかったために決勝ラウンドは抑えに回った。準決勝・米国戦、決勝・韓国戦に2試合連続登板して大会連覇に大きく貢献した。
侍ジャパンは栗林良吏(広島)が腰の張りで1次ラウンド終了後に離脱。抑えは大勢(巨人)が務めるとみられるが、ダルビッシュがブルペンに控えていれば心強い。日本でのラスト登板の後に、物語は続くか。
(中町顕吾)