WBC1次ラウンドで4連勝を飾った侍ジャパンと対照的に、大きな悔しさを味わったのが韓国だった。2013、17年に続いて3大会連続で1次ラウンド敗退。「打倒・日本」を誓っていたが、叶わなかった。
「近年の韓国は淡白で気迫が感じられない」
「韓国の1次ラウンド敗退が驚きかというとそうではない。2位を争うとみられていた初戦の豪州戦で7-8と敗れたことが痛手だった。2戦目の日本には4-13で敗れたが、先発のキム・グァンヒョンが3回を投げ切れなかった時点で予測できる結果でした。粘り強い戦いが持ち味だったのに、近年の韓国は淡白で気迫が感じられない。韓国国内で若者の野球離れが進む中で、WBCは人気復興のチャンスでしたが、この結果では国民の興味が失われてしまう」(スポーツ紙記者)
今大会にかける韓国代表の思いは強かった。韓国系米国人のトミー・エドマン(カージナルス)が初の代表入り。ダルビッシュ有とパドレスでチームメートのキム・ハソンと組む二遊間は今大会屈指との呼び声が高かった。メジャーが注目する安打製造機のイ・ジョンフ(キウム)、元ツインズのスラッガーで4番を務めるパク・ビョンホ(KT)と打線はタレントがそろっていたが、投手陣が脆弱だった。特に救援陣は勝利の方程式が結成できない状況で、チーム作りの限界を感じさせた。
集中力を欠いたプレーも命取りになった。豪州戦で1点を追いかける7回1死。代打のカン・ベンホが二塁打を放ったが、韓国ベンチの三塁ベンチに向かって右手を突き上げた時に、ベースを踏んでいたかかとが浮いていたためタッチアウトに。反撃ムードがしぼんだ。
08年の北京五輪で金メダル、09年のWBC決勝戦で日本と死闘を繰り広げた戦いぶりは「過去の栄光」となりつつある。再び日本のライバルになれる日が来るか。(中町顕吾)