放送法が規定する「政治的公平」の解釈をめぐるやり取りが記されている総務省の行政文書をめぐる問題で、国民民主党の玉木雄一郎代表は2023年3月14日午前の記者会見で、「何が争点なのかだんだんずれていっている」と指摘した。
現時点でクローズアップされているのは、当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相に対する15年2月13日の大臣レク(説明)の有無。高市氏が、自らの進退に言及しながらレクの存在を否定したことで、「自爆しているというか被弾している」。玉木氏としては、レクは存在していたとの見方を示した上で、「早くけりつけてもらいたい」と話した。
「中身はともかく、レクがあったかなかったかということに争点が移っている」
玉木氏の見立てにとると、「事の本質」は、
「政治的圧力で放送法の解釈が歪められて、民放などの自由な放送ができなくなる、あるいは(放送内容が)ゆがめられるということがあったのかなかったのか、ということがポイント」
だが、「その中身はともかく、レクがあったかなかったかということに争点が移っている」とみる。
この点をめぐっては、3月8日の参院予算委で、文書を公表した立憲民主党の小西洋之参院議員が
「高市大臣が早くこの『捏造』という発言が虚偽であることを認めて、この委員会での発言のとおり大臣を辞職し議員を辞職することを求める」
と改めて迫ったのに対して、高市氏は
「これが事実であれば、それは、私は責任を取りますよ。でも、これ事実じゃないですから」
と述べていた。
玉木氏は、
「何の議論してるのかな?という気がしますし、ちょっと申し訳ないんですけど、勝手に高市大臣が自爆しているというか被弾しているというか、なんか元々そこじゃなかったんじゃないかなと...」
などと述べた上で、文書に書かれたレクの内容では高市氏は「かなり比較的慎重なやりとり」をしているとして「内容自体が正しくても何の問題もないと思う」とみる。さらに次のように話し、高市氏の答弁が事態の混乱を招いたとの見方を示した。
「ただ、そもそもレクの有無に自ら争点を移したことによって、何かレクがあったらやめるとか、なかったら大丈夫、みたいになってしまっているのが、何の議論になってんのかな?というのが...。私は、何か勝者も敗者もないような、そういう何か若干...、もっと他の大事な議論をした方がいいんじゃないかなという気がする」
玉木氏は「勝手に事を難しくしているような気がする」とも話した。
「修正するところは修正する、ということで早く収めないと...」
玉木氏の放送法に対する現状認識は、問題視された「サンデーモーニング」(TBS系)の放送が継続されていることから、
「(総務省が)ギリギリ踏ん張って、無理難題を言う礒崎さん(礒崎陽輔元首相補佐官)を収めつつ、うまくとりなしながら、解釈を変えずに今日まで踏ん張ってきたというのが実態なのかなという気がする」
というもの。その上で
「政治介入が行われないように、放送法の理念をしっかり守って運用が行われることを、現政権でもきちんと確保されてるんだということを、総務大臣なり岸田総理がきちんと答弁して、確定させることが大事」
だとした。
高市氏が「捏造」だと主張している点については「ちょっと強い言葉で言いすぎているな、というところがある」と指摘した上で、高市氏は追加説明や答弁の修正が必要だとした。
「そういうところはちゃんと事実を1回整理して、きちんと説明するところは説明する、修正するところは修正する、ということで早く収めないと...」
防衛増税をめぐる議論やG7広島サミットに向けた日本外交のあり方など「大変重要な課題がある」として、
「レクがあったかなかったかは、早くけりをつけてもらいたいなと思いますね」
と話した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)