「なりたい顔」は芸能人から一般人へ 背景にSNSの普及
高須氏によると、SNSの普及は整形希望者の「なりたい顔」に変化を与えている。2000年ごろはカリスマ的な芸能人が人気を集めていた。今でも芸能人を理想とする人はいるものの細分化が進み、整形を公表しているキャバクラ嬢や一般人などの写真を出す人が多くなった。
5年前ごろからは、自撮り写真を加工して持ち込む人も増えている。
高須氏は「加工もあまり良くない。どれが自分の顔か分からなくなる」と警鐘を鳴らす。若者のなかには、加工写真しかSNSに投稿できない状態の人もいるほどだという。加工した顔に見慣れてしまうと、鏡で見た自分を不細工と感じ、劣等感から整形に走りうるとする。
ただ、整形するとしても骨格など生まれ持った素材によって実現可能な範囲には「限界がある」と忠言した。
写真を加工して「盛る」文化はSNS普及以前からある。若者に特化したマーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」所長の長田麻衣氏は、盛る文化の変容について「元々はエンタメだったのが、具体化された」と分析する。
カメラアプリの発達によって、顔のパーツを自由自在に加工し、理想の状態を細かく認識できるようになった。自覚するだけではなく、口コミアプリの登場やSNSにおけるインフルエンサーの情報共有などで整形がコンテンツとして身近になり、「つけまつげを付ける」くらいの気軽さで整形を取り入れやすいのではないかと述べた。