ANAホールディングス(HD)傘下のエアージャパンは2023年3月9日、新ブランド「AirJapan」による初便を24年2月に運航すると発表した。最初に東南アジアに乗り入れる予定で、具体的な就航地は23年夏頃に発表予定。中期的には関西国際空港と東南アジアを結ぶ路線も検討する。
AirJapanは、ANA HDにとってANA、格安航空会社(LCC)のピーチに次ぐ「第3のブランド」。中距離路線に就航予定で、「LCCとは一線を画す、ゆとりある空間の実現」をうたう。日本の航空会社としては、日本航空(JAL)傘下の中長距離LCC、ZIPAIR(ジップエア)が20年6月に運航を始め、成田と東南アジアや北米の6都市を結んでいる。旅行者にとっては選択肢が増えた形で、両社が比較されることも多くなりそうだ。
上位クラス設けると「エコノミークラスは、どうしてもピッチを狭く」
両社ともに使用するのはボーイング787-8型機。ZIPAIRはビジネスクラスの「ジップフルフラット(ZIP Full-Flat)」(18席)と普通席にあたる「スタンダード(Standard)」(272席)の2クラス290席を導入しているのに対して、AirJapanはエコノミークラスのみ324席を導入することにした。
前の座席との間隔(シートピッチ)は、ZIPAIRの普通席が約79センチ(約31インチ)で、AirJapanが約81センチ(32インチ)。アジア最大のLCC、エアアジアの約70~78センチ(28~30インチ)よりも若干広い。
エアージャパンの峯口秀喜社長は、上位クラスを設けると「後ろのエコノミークラスは、どうしてもピッチを狭くせざるを得ない。やはり差別化が図れない」と説明。上位クラスを設けずに、エコノミークラス全体のシートピッチを広くする選択をしたと説明した。
ZIPAIRよりも1インチ広くなっている点については、
「後ろ(エコノミークラスのシートピッチ)を広くしてしまうと、座席数全体が減り、やはり利益がなかなか出ない。そういった観点で、我々は今回の決定をしている。他社を見たから、他社を上回るために32インチにしたということではない」
と話した。