侍ジャパンがきょう2023年3月9日、WBCの1次グループ初戦で中国と対戦する。先発は大谷翔平(エンゼルス)。注目度が高いが、スポーツ紙記者は「この大会でカギを握るのは第2先発です」と強調する。
「2番手は違うタイプの投手の方が抑えやすい」
「WBCは1次ラウンドが65球、準々決勝は80球、準決勝と決勝は95球の球数制限があります。先発投手が本来の状態ではなかったり、相手打線に粘られて球数を費やすようだと、次の投手は試合の序盤からマウンドに上がらなければいけない。
かつてはWBCで06、09、13年と3大会に出場した杉内俊哉(現巨人3軍投手チーフコーチ)がこの第2先発の役割で抜群の投球をしてくれた。先発は大谷、ダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)と球に威力がある右の本格派がそろっているだけに、2番手は違うタイプの投手の方が抑えやすい。そこで期待がかかるのが今永昇太(DeNA)です。球速より球のキレで勝負するサウスポーで、制球に苦しむ心配がない。第2先発で相手打線を抑え込めば試合の主導権を握れます」
DeNAのエース左腕である今永は昨年6月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)でノーヒットノーランを達成するなど、11勝4敗、防御率2.26の好成績をマーク。1イニングあたり何人の走者を出したかを表す数値で安定感を示す指標であるWHIPは、リーグトップの0.94だった。チームでは先発を務めているが、救援に回っても十分に対応できるだろう。縫い目の高さや滑りやすさがNPB公式球と異なるWBC公式球の扱いにも慣れ、実戦ではきっちり球を操れている。
今永はあす10日の韓国戦(東京ドーム)で、第2先発として登板することが有力視される。五輪やWBCで数々の激闘を繰り広げてきた宿敵相手に快投を見せれば、今後の戦いに向けて自信がつく。「投げる哲学者」が国際舞台でどんな投球を見せてくれるか。
(中町顕吾)