「一個やると次...」依存症のリスクも
「依存症になると怖い」と当事者ならではの苦悩も打ち明ける。
ちいめろさんは、「目の整形して鼻の整形して輪郭して...とやっていた時は、ちょっと依存症なところはありました」と振り返る。
埋没法は手軽な反面、長期的に二重を持続できるとは限らない。二重整形を複数回繰り返してまぶたにメスを入れてからは、涙袋や鼻にヒアルロン酸を注射するといった手軽なものから、骨を切って口元を後退させる大掛かりな手術まで重ねている。当時はこのような心理も働いていたという。
「整形することでコンプレックスが解消されるわけじゃないですか。それが自分のなかで『凄い!』と思って。ただ、一個やると『次ここ気になるかな?』ってなってくる。欲が出てきちゃって。結局、顔ってバランスが大事なので」
「『欲』プラス『楽しい』みたいな。可愛くなっていく、自分の求めてくものになっていくのが楽しい」
現在は落ち着き、一定期間で効果が薄れるような施術をメンテナンスとして続けている程度だ。とはいえ、今後も時間があれば整形済みの箇所を修正したいという。
整形普及による懸念はほかにもあるようだ。谷本教授は、「整形が気軽になればなるほど、ルッキズムが加速するリスクは常にある」と述べる。アンケートでは整形に寛容な若年層の方が同様の懸念を強く示している。
手軽に直せるとなると、「美の基準が単一のままである社会」になりうるためだと谷本教授はいう。ただ、因果関係として「ルッキズムがあるから整形する」とも考えられ、意識の持ち方が重要だとする。
「美の判断が画一化されたものでなければ、そもそもコンプレックスに感じる必要もないわけです。本当はさまざまな美の形があると社会で共有できるのが一番良い」