元徴用工による訴訟や慰安婦問題で日韓関係に課題が山積する中でも、韓国から日本を訪れる観光客の数が急回復を見せている。
韓国で行われた世論調査によると、対日感情も大幅に改善している。20~30代の「MZ世代」を対象にした調査では、日本に対してポジティブな印象を持っている人の方が多く、その中には訪日経験がある人も多い。日本を訪れる人が増えることで、対日感情が改善する好循環も期待できそうだ。
韓国からの観光客は「コロナ前」の72.5%に回復
日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年1月の訪日外国人客数(推計値)は149万7300人で、「コロナ前」の19年1月の55.7%の水準に回復した。国・地域別に見ると、最も多いのが韓国の56万5200人。コロナ前の72.5%だ。訪日外国人客数全体の3分の1を占める。
新型コロナの水際対策は22年10月11日に大幅に緩和され、入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国が解禁された。韓国人観光客に対するビザ免除措置も2年7か月ぶりに復活した。この効果は一目瞭然。韓国からの旅行者は22年9月は3万2700人だったが、10月は12万2900人に急増。11月は31万5400人、12月は45万6100人と増加を続けてきた。
対日感情の改善が後押ししている面もありそうだ。新聞通信調査会が22年11~12月に実施した世論調査によると、韓国で日本に対して「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」と答えた人の割合は39.9%で、前回調査(21年11~12月実施)よりも8.7ポイント増加。9回目の調査で過去最高を記録した。
「日本のことが報道されると関心を持つか」という問いには、74.4%が「とても関心がある」「やや関心がある」と回答。前回よりも9.9ポイント上昇した。
「MZ世代」過半数が「日本訪問など両国間の交流が日韓関係に肯定的な影響」
訪日経験のある20~30代の「MZ世代」を中心に対日感情の改善が進んでいる可能性もある。韓国経済団体の全国経済人連合会(全経連)が23年2月16日~21日にかけて「MZ世代」を対象に行ったオンライン調査では、42.3%(20代44.7%、30代39.7%)が日本に対して肯定的(ポジティブ)な印象を持っていると回答。否定的(ネガディブ)な印象を持っていると答えたのは17.4%(20代14.3%、30代21.0%)にとどまった。回答した人のうち51.3%(20代43.3%、30代60.2%)に訪日経験があり、その目的の96.4%(20代96.0%、30代96.8%)が観光・旅行。
調査に回答した人のうち51.3%(20代49.9%、30代52.9%)が、日本訪問など両国間の交流が日韓関係に肯定的な影響を及ぼすとみている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)