和式に教育メリットも指摘されるが、国は学校でも洋式95%目指す
その理由について、事務局長は、学校や公衆便所など公共の場所に対し、和式の注文が一定量はあることを挙げた。
「洋式ですと便座が肌に触れることになり、清潔感を気にする若い女性など感覚的に嫌がる人が一定数います。また、人間工学的に排便がスムーズになるとおっしゃる先生もいますね。しゃがむと腹圧がかかりやすいという理由からです。災害時などの仮設トイレはほとんど和式で、学校ですと、非常時に排便できる訓練として和式を使えた方がいいと、教育の一環と考えるところもありますね」
ネット上で和式を検索すると、そのメリットとして、価格が安い、洋式より節水になる、清掃が楽といった点も挙げられている。しかし、こうした点はむしろ逆だと、事務局長は指摘する。
「物にもよりますが、和式はコンクリートに埋め込みますので、工事費が高くなります。使う水量も、洋式の方が少ないでしょう。和式は、周辺に飛び散って床が汚れやすく、洋式は汚すことが少なく掃除が楽ですね」
洋式にメリットがあるとされた背景として、「膝が悪い高齢者は、しゃがむのが大変ですので使う方が多いですね。普及したのは、社会の高齢化も原因とされています」と説明した。
文科省が2020年に学校のトイレ状況を調べたところ、和式の占める割合は、4年前より14%も減ったが、43%を占めている。同省の施設助成課は3月2日、取材に対し、和式をどうするかについてこう説明した。
「自治体が自らの考えに沿って、トイレの計画を立てています。古い駅には和式しかないといった教育上の観点から、和式を残すところもあります。また、衛生面から便座に触れる洋式を望まない児童や生徒も一定数いることも配慮しているようです。和式を残すかは、自治体の考え方次第で、文科省として一律に示すのは難しいと考えています」
ただ、災害時に学校が高齢者も利用する避難所になるため、内閣官房が25年度までに学校のトイレ95%を洋式にするという目標を立てており、文科省としても、自治体が予算を確保できるよう便宜を図っているとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)