共産党「除名騒動」で強まる逆風 当人も「想定外」だったスピード処分と批判の過熱

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   共産党から規約上最も重い「除名」の処分を受けた松竹伸幸氏(67)が、2023年2月27日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。

   除名処分をめぐっては、新聞各紙が社説で批判し、共産党側も「応戦」を続けている。23年春に控える統一地方選では、今回の除名によるハレーションで無党派層離れを招くとの見方もある。想定よりも選挙への影響が大きくなりそうな事態に、松竹氏は「大変苦慮している」「無力感みたいなものを抱えている」などと話した。

  • 日本外国特派員協会で記者会見する松竹伸幸氏。統一地方選に影響が出ることで「大変苦慮している」「無力感みたいなものを抱えている」などと話した
    日本外国特派員協会で記者会見する松竹伸幸氏。統一地方選に影響が出ることで「大変苦慮している」「無力感みたいなものを抱えている」などと話した
  • 日本外国特派員協会で記者会見する松竹伸幸氏。統一地方選に影響が出ることで「大変苦慮している」「無力感みたいなものを抱えている」などと話した

社説の共産党批判は「卑劣な反共キャンペーン」

   松竹氏の除名をめぐっては、朝日、毎日、産経、信濃毎日、西日本の5紙が社説で批判。共産党側は反発しており、機関紙「しんぶん赤旗」がたびたび反論記事を掲載している。志位和夫委員長は2月23日に神戸市内で行った演説で、一連の社説を念頭に

「平和と民主主義を守るためにも、こういう卑劣な反共キャンペーンはみんなの力を合わせて打ち破ろうではありませんか!」

と主張。赤旗は、翌24日の1面トップで、演説の内容を「反共は戦争前夜の声」の大見出しで報じた。

   松竹氏は、こういった形で除名処分をめぐるメディア露出が増えることで、統一地方選で共産党から無党派離れが進みかねないとみる。ただ、「そういうことは私も想定していなかった」とも話した。

   松竹氏によると、党首公選制を求める著書「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)を出したことで、ある程度のハレーションがあることは想定していた。ただ、発売のタイミングについて「選挙の終わった5月に出すか、あるいは選挙の影響を避けるために1月にするか」を出版社と相談し、「1月だったら多少何かあっても、選挙の本番には影響ないんじゃないか」と想定して1月の出版に踏み切った。

   だが、あっという間に除名処分が決まって共産党への批判が広がり、「そういう予想を裏切るようなことになって、大変苦慮しているとしか言いようがなくて...」と胸中を明かした。

   松竹氏は、除名処分が見直されれば、共産党に対する逆風も弱まるとみている。例えば2月13日に配信された田原総一朗氏との対談では、田原氏が「(志位氏に処分を撤回するように)言います。(田原氏、志位氏、松竹氏の)3人で飯食おうよ」と呼びかけたのに対して、松竹氏は

「私と志位さんが握手している場面を見せた方が、よっぽど国民の支持は広がると思うんですよ」

と応じている。

「私が応援演説でもすれば支持者が広がるんじゃないかな」とは思うけど...

   松竹氏はこの点について改めて言及したが、「現実味がない」ため「無力感みたいなものを抱えている」とした。

「(除名処分を見直した上で)私と志位さんが握手する場面ぐらい作れないかなあ、なんてことはちょっと考えますけれども、現実味がないことだなって...そういう点では、ちょっと無力感みたいなものを抱えている、ということですね」

   自らの統一地方選への向き合い方についても苦慮している。当選してほしい共産党の知人や友人がおり、「できれば応援しに行きたいな、という気持ちはある」。その上で、

「こんな世論状況だからこそ、私が応援演説でもすれば支持者が広がるんじゃないかな、というぐらいのことは思う」

とも話したが、これは現実的ではなく、苦悩を深めていた。

「それは共産党にとっては許されないことなので、これもなすすべがない...ということで苦しんでいるというのが率直なところ」

   松竹氏は24年1月に行われる見通しの党大会で、除名処分について規約に基づく再審査を求めることにしている。今回の記者会見では、処分が覆る可能性は「現在では微々たるもの」だが、「そのわずかな可能性を切り開くため、全力をあげたい」と述べた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

姉妹サイト