「手紙を書く文化を残したい」SNS投稿が話題に 「便箋喫茶」紡ぐ魅力に共感続々、店主に聞く立ち上げの思い

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   「書く」文化を大切にしたいという思いで立ち上げられた東京都世田谷区のカフェ・便箋喫茶がSNSで注目を集めている。便せんや封筒、文房具、封蝋(ふうろう)を豊富に揃えており、店内で手紙を書ける。

   J-CASTニュース編集部は2023年2月15日、店を訪問した。

  • 東京都世田谷区のカフェ・便箋喫茶
    東京都世田谷区のカフェ・便箋喫茶
  • 名物はシーリングワックス体験
    名物はシーリングワックス体験
  • 名物はシーリングワックス体験
    名物はシーリングワックス体験
  • 店のロゴのスタンプ
    店のロゴのスタンプ
  • 国際中医師(中医学の専門家)から仕入れているという薬膳茶
    国際中医師(中医学の専門家)から仕入れているという薬膳茶
  • 手紙を書く道具がたくさん
    手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん
    手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん
    手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん
    手紙を書く道具がたくさん
  • 東京都世田谷区のカフェ・便箋喫茶
  • 名物はシーリングワックス体験
  • 名物はシーリングワックス体験
  • 店のロゴのスタンプ
  • 国際中医師(中医学の専門家)から仕入れているという薬膳茶
  • 手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん
  • 手紙を書く道具がたくさん

「書く」ことに縁がある人々が立ち上げた

   小田急線「経堂駅」から農大通りを5分ほど進み、看板を目印にマンションの地下1階に潜ると、小さな喫茶店がある。店内に入ると茶色の大きなポストが目に付く。実際に使えるものではないが、客から感謝の手紙が投入されているという。

   オーナーの奥迫将司さん(50)の本業はライターで、医療系の記事を手掛けている。

「ライターの仕事は、取材対象の方は目の前にいらっしゃいますが、読んでくださるのは一般の方々で直接のやりとりはなく、顔も見えません。お客様がいて対面でのやりとりがあるカフェに惹かれ、仕事で知り合った仲間と喫茶を開くことになりました」

   2021年1月、仲間2人とともに「便箋喫茶」をオープンした。1人は行政書士でもう1人はウェブページの制作などを手掛けており、3人とも「書く」ことに思い入れがあったという。

「店について話し合う中で、1人が『店内で手紙を書いている人がいたらいいな』と言い出しました。昨今は手紙を書く機会が減っていると聞きます。SNSは便利だけれどもこの文化がなくなってしまうことは忍びないと思い、手紙を書ける喫茶を開きました」

   棚には漫画や書籍が並び、自由に読める。手に取りやすい高さのところには、様々な便せんや文房具が並べられている。切手も販売しており、店内で一から手紙を書ける。

   カフェとしては様々な薬膳茶などを提供しており、メンバーに縁がある国際中医師(中医学の専門家)から仕入れているという。軽食ではチキンカレーが人気だそうだ。

シーリングワックス体験が好評

   便箋喫茶が注目を集めたきっかけは、ツイッターでの広告だった。

「"手紙を書く文化を残したい"という想いからつくられた『便箋喫茶』便箋、封筒、文房具、シール、マスキングテープが全て無料でご利用いただけて、シーリングワックスの体験もできます!お飲み物やお食事にも力を入れています」

   店員の谷川さん(23)が1月28日に投稿し、プロモーション機能で露出を増やした。ツイートは16日18時までに1万7000件を超えるリツイート、7万件を超える「いいね」が寄せられる大きな反響を呼んだ。

   投稿を手掛けた谷川さんは、「想定外のあまりにも大きな反響に驚いています。シーリングワックス(封蝋)に注目された方が多かったように思います」と振り返る。

   食事やお菓子を飲み物とセット注文した客に、無料で「シーリングワックス体験」を提供している。ろうそくで溶かしたワックスを封筒の上に垂らし、固まる前にスタンプを押すことで、封を留めることができる。店には様々なワックスやスタンプが用意されている。

   谷川さんが実演で用いたスタンプは店のロゴをかたどったものだ。このロゴは、立ち上げメンバーの娘がデザインしたもので、手紙を表す手話をモチーフとしている。「便箋喫茶」という店名も彼女が考案したそうだ。

最近は「ファンレター」を書く人が急増

   便せんは、定休日に店員らが文房具屋を歩き回り購入している。谷川さんは「デザイナーさんが自作されたものや、その場に行かなければ手に入らないものに出会えた時はうれしいです」と話す。

「ツイッターで話題になってからは、次のお休みまでに便せんが足りなくなってしまったことがありました。このときに便せんを寄付してくださったお客様がいて、このエピソードをツイッターで紹介したことをきっかけに、使いきれなかったものなど、ご自宅で眠っていた便せんを寄付してくださるお客様も増えました」

   イベントなどのない土日であれば1日20~30人ほどの人が訪れていたが、ツイッターでのプロモーションをきっかけに倍近くが訪れるようになったという。奥迫さんは笑顔で「大変ですね、先週はいままでで一番の来店者数でした」と話す。以前は友人や家族にあてた手紙を書く人が多かったそうだが、最近は舞台俳優らにあてたファンレターを書く人も急増した。短期間でのリピーターも多いという。

「多くのお客様は、便せんを選ぶところから楽しそうにされています。その後はご飯をしっかり食べて、集中して書かれています。私個人としては、この店を実家のような自分の居場所に思ってもらえたら嬉しいです」

   夜の営業時間には大きなスクリーンが用意され、カラオケやライブもできるようになるなど、違った一面も見せる。奥迫さんは、「不特定多数の集まるカフェには食べ物、音楽、自分の時間など様々な目的を持った人が訪れます。できる限り目の前のお客様の要望にお応えしていきたいです」と話した。

    (J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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