日本航空(JAL)傘下の中長距離格安航空(LCC)、ZIPAIR(ジップエア)は2023年2月21日に開いた記者会見で、23年夏にサンフランシスコとマニラに新規就航する方針を明らかにした。ZIPAIRにとっては7、8路線目。
現時点で日本と米本土の直行便を飛ばしているLCCはZIPAIRのみで、ロサンゼルス、サンノゼに続く3路線目だ。乗り継ぎ需要を含めて「東南アジア-日本-北米」を軸に成長を目指すことが基本方針で、今回の新路線もその一環。西田真吾社長は「他のエアラインもひしめき合う非常に競争の厳しい路線だが、価格と品質のバランスが取れている我々の乗り入れを待っていただいているお客様がいる」。日本と米西海岸を結ぶ路線の価格競争が激化しそうだ。
サンノゼ線は「期待が非常に高く、需要も非常に多くいただいた」
ZIPAIRは、元々親会社のJALで飛んでいた中型機、ボーイング787-8型機4機を改修して使用している。23年夏にかけて3機を追加導入する予定で、3機のうち2機が新造機だ。
増やした飛行機で既存路線を増便するほか、新規路線の開設にも振り向ける。具体的には、23年度第1四半期(4~6月)にサンフランシスコ便、第2四半期(7~9月)にマニラ線が就航する。具体的なスケジュールは3月末~4月上旬に発表する、としている。
サンノゼ線は22年12月に開設されたばかり。サンノゼはシリコンバレーの中心都市で、サンフランシスコにも近い。西田氏によると、サンノゼ線では「我々への期待が非常に高く、需要も非常に多くいただいた」ため、サンノゼ線を増便するという考え方もあったが、「好きな方を選べる、あるいは回遊できるということもあるのではないかと期待をしている」と話した。想定している乗客の層は、価格とサービスのバランスを重視する人が多いとして「若い方が多いのでは」。「お子様がいらっしゃるファミリー層」の搭乗も期待している、とした。
若者をターゲットにしているのはマニラ線も同様だ。かつては英語圏の留学といえば英国や米国、オーストラリアやニュージーランドが定番だったが、最近ではフィリピンを選ぶ人も多いとして、「そういった方々のお手伝いができるのでは」と話した。
ホノルル線はSAF&排出権取引で「カーボンニュートラル」実現
この日の記者会見では、23年4月から成田-ホノルル線で温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の取り組みを行うことも発表された。燃料のうち1%を、バイオ燃料をはじめとする「持続可能な燃料」(SAF、Sustainable Aviation Fuel)に置き換え、排出権取引も活用してCO2(二酸化炭素)排出量を年に4万トン減らす。ZIPAIRによると、カーボンニュートラルを実現したフライトを通年で運航するのは世界で初めてだという。ハワイはレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を掲げており、西田氏は
「ハワイの素晴らしい自然や環境を守るために航空会社として責任ある行動が求められている」
と話した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)