「昆虫食」市場急拡大も...根強い拒否反応 なぜ受け入れられない?識者に聞いた理由と打開策

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「昆虫は100万種以上おり、多様性の象徴でもあります」

   同研究会の伊藤貴広氏によれば、昆虫食の注目度は「かなり高まっている」という。TPCマーケティングリサーチの調査によると、昆虫食の市場規模は、2021年の国内では10.8億円だったとし、2020年から約6割伸びているという。また、日本能率協会総合研究所の調査では、2019年における海外での市場規模は70億円で、2025年には1000億円程度まで伸びると予想されている。

   この理由について、伊藤氏は(1)食糧危機が叫ばれる中で、現在の畜産業と比較し、少ない餌や少ない水、狭い土地で育てられると期待されている昆虫への注目(2)ビジネスチャンスと考える人たちによる企業の増加、これに伴う情報発信量の増加による一般層への認知の高まり――があると指摘している。

   なぜ昆虫食に対して抵抗感を示す人が多いのか。吉田氏は「昆虫は嫌悪感を煽る形で報道されてきました」と指摘する。例えば、衛生害虫として取り上げられる場合などだ。また、罰ゲームとして食用昆虫を食べる、などの扱われ方があったことも理由として挙げた。

   さらに昆虫は「食糧危機の際に食べないといけないもの」「肉が食べられない際の代替のもの」という形で取り上げられ、「食べたくもないのに食べさせられるもの」と認識されているという。「昆虫を食べることを強制されていると感じた方には特に嫌悪感を抱かれているものと推測します」。

   一方、昆虫には次のような側面もあるという。

「昆虫は様々な種類がいて、近年話題を集めるコオロギだけでなく、イナゴなどの伝統食・郷土料理としての側面もあります。食べた経験がある方も多くいますので、伝統的なものとしてポジティブなイメージを持たれていることもあるでしょう。さらに牛や豚と比べて環境負荷が低いことから、エコなイメージを持たれていることもあり、ポジティブな情報も報道されています」

   吉田氏は「昆虫は100万種以上おり、多様性の象徴でもあります」と述べ、「イメージする昆虫がバラバラになりがち」であるため、賛否両論になりやすいと指摘している。

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