公園にあるキリンをかたどった乗り物の遊具について、座面の塗装が剥げてプラスチックの中のガラス繊維が露出しかけていて不安だと、ツイッターで写真が投稿された。
この公園は、大阪府豊中市内にあり、市によると、ガラス繊維を使った繊維強化プラスチック(FRP)を使っていた。市は、「メーカー点検の結果、大丈夫だと判断した」と取材に答えたが、今後危険はないのだろうか。
ガラス繊維は、露出してはいなかった
小さな子供が乗るようなキリン遊具の座面は、お尻でこすられて塗装が剥げ、白い筋が多数入った透明な中身が、むき出しの状態になっている。遊具も、あちこちにヒビが入っていた。
子供の母親だというrieさん(@riewithpeanuts)が2023年2月13日、この写真をツイッターに投稿した。
rieさんは、公園名などは伏せたが、座面塗装が剥げて、プラスチックの中のガラス繊維が露出しかけていたとして、公園を管理する市の公式LINEを通じて連絡したと報告した。ガラス繊維について、表面が削れていくと、お尻に繊維が刺さってしまうのではないかと不安を漏らしていた。
写真の投稿は、5000件以上リツイートされ、ネット上で大きな話題になっている。投稿を見た人の間では、安全性を心配したり、注意喚起をしたりするような反応も出ている。
rieさんは15日、J-CASTニュースの取材に応じ、豊中市内のある公園だとしたうえで、自分の子供がこの遊具に乗ったものの、ケガはなかったとした。まだ繊維が露出してはいなかったという。rieさんは、仕事でFRPを扱っていたといい、「何度も手に刺さり痛い思いをした事があります」と自らの体験から心配していることを明かした。
この遊具について、公園を管理する豊中市の公園みどり推進課は、取材に対して、子供が乗って前後に揺れるスイング遊具だと担当者が説明した。
「繊維が露出しても、お尻に刺さることはない」
その説明によると、市の公式LINEで2月13日に通報を受け、担当者が現地へ行って確認し、修理業者にも点検してもらった。
「業者の方は、大丈夫だとの判断で、市としても、そう判断しました。ガラス繊維は露出していませんでしたが、露出した場合でも、お尻に刺さることはなく、そういう事例もありません。子供が座るところですので、メーカーもそんな遊具は作らないでしょう。現状では、修理せずにこのまま使い、連絡があれば目視してやっていきます。ただ、苦情が多いようですと、塗装の応急対応はしたいと考えています」
通報者には、16日に電話で説明し、この対応で承諾を受けたと明かした。
遊具は、子供が遊ぶと1~3年でヒビが入ることもあるといい、それほど古くはないとした。振動からの影響も含めて、安全上の問題はないと説明している。
市によると、定期点検は、年に1回、全公園で行っている。ABCDの4段階で判定され、今回の遊具は、B判定だった。
D判定なら危険だとして撤去し、C判定を中心に遊具の回収や修繕を行っているという。A判定、B判定なら、ほぼ安全だとみなしている。
「繊維が取れて穴が開けば、穴の周りで切れたりもする」
ガラス繊維のFRPを使った遊具については、過去に子供がケガなどをしたケースも、いくつか報道されている。
大阪読売新聞の2007年8月1日付朝刊記事によると、滋賀県草津市の公園のスライダープールで10人が背中などに擦り傷を負い、市の調べで、滑走面に使われたガラス繊維のFRPが紫外線で劣化したのが原因とされた。
また、高知新聞の同年11月15日付記事によると、高知県四万十市の公園滑り台で遊んだ保育園児19人が手足に痛みやかゆみを訴え、病院で診察を受けた。市の調べで、ガラス繊維のグラスファイバーを使った滑り台の落下防止用カバーが風雨で劣化していたのが影響した。
FRPを使った遊具の製造や修理をしているあるメーカーは、J-CASTニュースの取材に対し、次のように話した。
「露出したガラス繊維でケガをしたというケースは、聞いたことがありません。ただ、繊維質ですので、乗ったり滑ったりすると、摩擦で削られて、繊維が取れて穴が開いたりすることがあります。そうしますと、穴に入れた指に刺さったり、穴の周りで擦れて切れたりもします。そうした部分から粉が出て、かゆくなったり痛くなったりすることもあると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)