プロ野球DeNAが25年ぶりのリーグ優勝に向けて沖縄県宜野湾市でキャンプを行っている。昨季は首位ヤクルトに8ゲーム差をつけられながらもリーグ2位となり、21年の最下位から大きく飛躍した。
就任3年目の三浦大輔監督(49)は今季セ・リーグを制することができるのか。J-CASTニュース編集部は、楽天の元ヘッドコーチで巨人、西武、ヤクルトでコーチを歴任した橋上秀樹氏(57)に戦力を分析してもらった。
「今季も投打ともに戦力が充実している」
橋上氏は「昨シーズンは序盤、エンジンのかかりが悪かった。終盤の勢いがあればもう少しヤクルトに接近したと思う。今季も投打ともに戦力が充実しており、戦力が拮抗しているセ・リーグの中でも上位に入る」と分析した。
投手に関しては先発、リリーフ陣ともに「ある程度戦力が整っている」と評価し、注目の投手としてプロ4年目の左腕・坂本裕哉(25)の名を挙げた。坂本は19年ドラフト会議でDeNAから2位で指名され入団。ルーキーイヤーの20年は10試合に登板して4勝1敗。翌21年は4勝6敗、昨季は15試合に登板し未勝利に終わった。
「入団した当初から非常に評価していました。投球自体は良いが、ツメが甘かったり打線の援護に恵まれなかった試合が結構あった。今年は紅白戦でいきなり投げている。首脳陣としても今年はしっかり出てきてほしいという期待があるので早めに実戦投入したと思います。投球フォームのバランスは悪くない。そろそろ出てきてほしい投手です」
左の先発候補を多く揃えるDeNA。坂本の飛躍と共に昨季1勝に終わった東克樹投手(27)が復活すれば投手陣にさらなる厚みが出る。
野手に関しては22年ドラフト会議でDeNAから1位指名を受けた松尾汐恩捕手(18)に注目しているという。松尾は沖縄キャンプに参加しており、12日に行われたヤクルトとの練習試合に出場し対外試合デビューを飾った。
「嶺井捕手が抜けて完全なレギュラーがいない状態です。もしかしたら早い段階で1軍のマスクを被る可能性もあると思います。今後のオープン戦次第では抜擢する可能性は十分にある。実戦の映像を見る限り肩が良くスローイングも良い。一通りの身のこなしは問題ないと思う。あとはチームのピッチャーの球を全部取り切れていないでしょうから、開幕までにどれだけ情報を入れられるか。非常に落ち着いているように感じる。将来性などを考えると今季使ってみたい選手です」
「凡打でいかに点を取るか」
打撃陣に関しては「タレント揃い」と評する一方で「得点力」を課題に挙げた。昨季はチーム打率リーグ2位ながら得点はリーグ4位だった。チーム打率ワーストの巨人の得点を下回った。
「個々の打つ能力は高いが、状況に応じたバッティングが足りていない感じがする。打線の良さが得点力に直結していない。無駄打ちが多いというのが印象にある。三浦監督が今年のキャンプで全体練習を減らし、選手に考える時間を設けるという事を打ち出しているのはおそらくそういったところも入っていると思います。常にヒットを打つということよりも場面に応じて考えてもらいたいと。監督はそういうことを投げかけているのだと思います」
そして得点力アップにつながる「効果的」凡打に言及した。
「凡打でいかに点を取るか。野球はだいたい7割が凡打。それをただの凡打で終わらせてしまうのか、それとも効果的な凡打にできるか。1本のヒットを打つこと以上に大事になってくる。現役の選手は7割の凡打にあまり目がいかない。7割の凡打をチームにとっていかに役立たせるか。1本のヒットよりも効果的な凡打もある。その発想が根付き、そういうことを考えられる選手が増えてくればさらに飛躍できると思います」
昨季は勝率5割をキープしリーグ2位となった。橋上氏はリーグ優勝したヤクルトとの対戦結果がそのまま数字に反映されていると指摘した。昨季の対戦成績は9勝16敗と大きく負け越し、最終的に8ゲーム差をつけられた。
橋上氏は「ヤクルトとの対戦成績が五分ならば8ゲーム差もついていない。そこをどうとらえるか」とし、「昨シーズンのヤクルトは効果的な凡打が見られた。対するDeNAは出来ていなかった。対照的でした。この違いが最終的にこれだけの数字に表れている。敗因をしっかり検証して対策できれば今シーズンは逆の成績になり得る」との見解を示した。
ルーキー #松尾汐恩 選手??
— 横浜DeNAベイスターズ (@ydb_yokohama) February 1, 2023
緊張のキャンプ初日を終え??@shion_matsuo76 #球春到来#春季キャンプ#baystars pic.twitter.com/OTLhDzHTxT