「半額専門店」を掲げる小売りチェーン「TOAmart(トーアマート)」に異変が起きている。
2023年2月以降、次々と月内での閉店が発表され、目標に掲げる「500店舗」に暗雲が立ち込めている。SNSで不満をぶつける店の関係者も現れ、内部で波乱を呼んでいる。運営会社に事情を聞いた。
「値上げラッシュの救世主」に何が?
トーアマートは、定価の半額での販売を強みとする「半額専門店」。メーカーから商品を直接仕入れることで、安さを実現している。コンビニをライバル視し、24時間年中無休を押し出す。運営するのは、PCR検査センターや新型コロナ検査キットで知られる東亜産業(東京都千代田区)。
21年11月の東京・秋葉原店のオープンを皮切りに出店ラッシュが続き、2023年中に全国で500店舗を達成すると豪語している。
メディアでの注目度も高い。「ネット上には『小さなドン・キホーテ』という声もある」(毎日新聞)、「値上げラッシュの救世主」(@DIME)、「物価高に苦しむ消費者に喜ばれて、急成長」(ITmediaビジネスオンライン)と次々に紹介されていた。
しかし、成長に黄色信号が灯っている。
トーアマートのウェブサイトでは、2月13日時点で206店舗が掲載されている。そのうち3店は閉店したと案内があるが、2月以降に約30店舗の閉店が各店のSNSで発表された。在庫一掃セールや時短営業を始める店も目立つ。SNSアカウントが確認できなかったり、ほとんど運用していなかったりする店も多くあり、規模はこれ以上に及ぶ可能性もある。
ある店舗は、SNSで「2月8日普段と変わらない朝です。上司から電話が来ました。その内容は今日で○○店は閉店と突然の知らせです。昨日まで普通に営業していたにも関わらず、予告も無くです」と店長名義で内情を打ち明けた。
会社の見解は
同じ日に閉店した別の店も、「店長、社員、スタッフ一同が何も知らず直前に"閉店"とのご連絡が上からありました」「自分たち自身が一番理解に追い付いていないのが現状です」と失意に暮れた。「2月8日 開店前に店長から今月で閉店すると連絡がありました。信じたくない気持ちでいっぱいでした(中略)大好きな職場だからこそ急な上からの連絡にふざけんなその一言しか出てこないです」との投稿も見つかった。
店舗関係者はJ-CASTニュースの取材に、突然の閉店通達があったと認めた。別の関係者も、「エリアマネージャーからいきなり伝えられ、理由は会社の方針としか言われなかったです」と話した。
東亜産業管理本部は15日、「閉店していくのは事実ですが、何店舗閉店するのかは確定していないところがあり外部に公表は控えております」と取材に答えた。背景については「基本的には営業上の理由ですが、詳細な理由についてはどう開示するか検討中です」と話すにとどめた。
閉店する店の従業員への対応は適切だったのか。管理本部は「我々の方で中央労働局と連絡を取り合って、当社としての対応方針を報告しています。そこでただちに問題があるかどうか回答があるわけではないですが、報告した方針に従って対応していきます」としている。