大手飲食チェーンの間で、これまでテーブル上に置かれていた調味料類の撤去と、店員による配膳式への変更が相次いでいる。飲食店内での迷惑行為や異物混入などが相次いで報じられる中、各社は衛生対策や利用客の不安解消に追われている。
王将は2月11日から「卓上調味料」撤去
「ご不便になりまして申し訳ございません」――。2023年2月14日、J-CASTニュース記者が都内にある中華料理チェーン「餃子の王将」で餃子を注文すると、店員は申し訳なさそうな口調で、瓶に入った「ラー油」を席まで運んできた。
1月下旬~2月上旬にかけて、回転寿司をはじめとする飲食チェーンで利用客の迷惑行為が相次いで報じられた。また、「餃子の王将」では一部店舗のテーブルに置かれていた調味料に虫が入っている動画が拡散。同件について運営会社の王将フードサービスは9日に公式サイト上で、フランチャイズ店で同内容に類似する事案が起きていたとして、謝罪している。
一連の問題のあと、SNS上では王将の店舗にあった卓上調味料が撤去されているとの報告が相次いでいた。同社は14日、餃子のタレ、ラー油、酢、コショウの調味料類を指す「カスターセット」の扱いについて、公式サイトで次のような施策を行っていたと発表している。
「昨今、当社店舗や他の飲食店において衛生管理に関するトラブルが発生していることを受け、当社では2月11日より卓上のカスターセットを撤去し、配膳の都度小皿に入れてお席にお持ちする運用を開始いたしました」
上記の対策は「お客様の安心・安全と店舗の衛生を最優先に考え、全店舗にて早急に対応したもの」と説明。ただ、利用者からは不便を訴える声もあったという。そこで、14日からは餃子の王将全店舗で、以下の対応を始めたとした。
(1)カスターセットは卓上には置かず、お客様よりオーダーをお伺いした後に、異物混入や汚損がないかスタッフが目視確認の上、お席にお持ちします。
(2)お席にお持ちしたカスターセットは、下げ膳の際に厨房に戻し、スタッフが異物混入や汚損がないか目視確認し、アルコールで必ず消毒します。
(3)餃子のタレ、酢の容器は1日に2回、ラー油の容器は1日に1回必ず洗浄します。
ココイチでは「福神漬け」撤去
カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」では2月以降、卓上に配置していた「福神漬け」などの調味料を、全店で店員が都度提供する方式に変更している。運営する壱番屋(愛知県一宮市)の広報担当者は14日、取材に「お客様の中で不安が広がっている中で、全店で対策の強化をしております」と説明した。
CoCo壱番屋では2月上旬、若い男性客が福神漬けをそのままスプーンで直接食べる動画がSNS上で拡散された。担当者は2月2日の取材に、同件については既に解決済みだと説明した。
回転寿司チェーン「すし銚子丸」を運営する銚子丸(千葉市)は2月6日、横浜都筑店(横浜市)の座席に設置された共用のガリの箱の中に電子タバコの吸い殻が見つかったとして、警察に相談し捜査を進めていることを発表。さらに「従来カウンターやテーブルに設置していた醤油、粉茶、わさび(小袋)などの共用の食品と、湯飲み、小皿などの食器について、お客様をご案内するたびに従業員がお席にお持ちし、お帰りの際に回収することにいたします」と対策を伝えていた。