那須川天心はボクサーとして成功できるか キックから転向の「強みと課題」を識者に聞いた

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「練習のスタミナと実戦のスタミナは全く違う」

   さらに「アマチュアボクシング出身選手との違いは一概には言えないが、戦い慣れている点でいえば一緒です。ムエタイはムエタイのキックボクシングはキックボクシングの独特の間合いがあるが、ボクシングの間合いに早くアジャストできればチャンスも早く来る。ムエタイのケースで言えば、タイのジムはムエタイとボクシングを兼ねたジムが多いので、練習でボクサーとスパーリングをすることが日常的にありますから」と続けた。

   ムエタイ出身のセンサク・ムアンスリン(タイ)はプロ3戦目でWBC世界スーパーライト級王座を獲得し、世界王座獲得の史上最短記録を作った。辰吉丈一郎(大阪帝拳)、西岡利晃(帝拳)、長谷川穂積(真正)らと拳を交え日本でも人気のあったウィラポン(タイ)は、ムエタイ王者からボクシングに転向しプロ4戦目で世界王座を獲得している。

   金平会長はキックボクシングなど異種格闘技の選手がボクシングに転向するにあたり「転向前にいかにボクシングの練習をしてきたかというのが大きな要素」とし、「近年は垣根が低くなりキックボクシングの選手たちがボクシングのジムに普通に行って練習をしています。我々の業界がウエルカムになっていますし、選手は相当アジャストしやすくなっている。環境の変化は大きいと思います」と解説した。

   一方、課題としてラウンドが増えることによるスタミナを挙げた。3ラウンドが主流のキックボクシングに対してボクシングは4ラウンドからスタートし戦績が上がるごとに6ラウンド、8ラウンド、10ラウンドと増えていく。東洋太平洋、世界タイトル戦は12ラウンドで行われる。

   金平会長は「ボクシングとはラウンド数が圧倒的に違います。練習でスパーリングを何ラウンドやろうとも試合とは異なる。練習のスタミナと実戦のスタミナは全く違いますから。実際の試合ではヘッドギアもないしグローブも小さくなるので打たれれば効きます。緊張感も違う。アマチュアで実績を残した選手がプロのリングで大成しなかったケースもあります。スタミナと経験値。これがひとつの課題になると思います」と説明した。

   スポーツ紙などの報道によると、那須川が所属する帝拳ジムの本田明彦会長(75)は、1年以内に日本タイトルを取れると自信を見せているという。

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