「モノが違う」。他球団のスコアラーが視線を送ったマウンド上で、圧巻の投球を見せたのが中日・高橋宏斗だ。今年初めて対外試合に登板した2023年2月12日の韓国・サムスン戦(北谷)で3回1安打無失点。直球は最速154キロを計測し、落差の大きいスプリットで空振りを次々と奪う。
「直球を少し引っかけていたが、きっちり修正するでしょう。スプリットは直球と見間違える球速でくるので打者はボール球でも手が出る。今年大ブレークする筆頭候補でしょう。連打はなかなか出ない。手強い相手になると思います」(他球団スコアラー)
「中日の背番号19のピッチャー良くないですか?」
高卒2年目の昨季は19試合登板で6勝7敗、防御率2.47。打線の援護に恵まれない登板が続いたが、投球内容を見たら2ケタ勝利を挙げても不思議ではなかった。1年目の21年は1軍登板なし。まだ無名だった昨年のシーズン前にその投球を見たツインズ・前田健太が、「YouTubeで紅白戦をちょっと見ただけですが中日の背番号19のピッチャー良くないですか?」とツイッターに投稿して話題となったが、見事に飛躍した。
今年3月に開催されるWBCで、侍ジャパンのメンバーにも選出されている。高橋宏は試合中盤に長いイニングを投げる「第2先発」で起用される可能性が高い。尊敬するオリックス・山本由伸と自主トレを行い、春季キャンプのブルペンでは山本にそっくりな投球フォームに。立浪和義監督と話し合った末に左足を上げる昨年のフォームに戻したが、調整が順調であることをアピールした。
中日は大野雄大、柳裕也の「ダブルエース」がチームを引っ張ってきたが、昨年は小笠原慎之介が自身初の2ケタ勝利となる10勝でチームの勝ち頭に。さらにパ・リーグの3球団で最多勝を獲得し、通算154勝をマークしている涌井秀章も楽天からトレードで加入した。先輩たちの存在は大きな刺激になるが、高橋宏は2ケタ勝利が通過点だ。15勝を挙げれば、最下位からの巻き返しを狙うチームも大きくジャンプアップできる。20歳右腕が、球界を代表する投手に覚醒できるか。(中町顕吾)
YouTubeで紅白戦をちょっと見ただけですが中日の背番号19のピッチャー良くないですか?吉見さん引退されてるので
— 前田健太(Kenta Maeda)マエケン (@maeken1988) February 11, 2022
新しい選手かな?